文句なしで2018年オリックスのMVPは吉田正尚である
1.吉田と2018年シーズンの主な出来事
2017年11月下旬 腰の手術
2018年2月 1日 キャンプ2軍スタート
2018年2月24日 1軍キャンプ合流
2018年3月30日 開幕戦
2018年6月21日 甲子園(阪神戦)で右足首捻挫
2018年9月15日 札幌(日ハム戦)で右手小指死球
2018年10月5日 シーズン終了
11月下旬に腰の手術を受け、2018年の調整が危ぶまれたが、終わってみれば143試合全試合に出場した。いくつかアクシデントもある仲で、チーム唯一の全試合出場は立派としか言いようがない。
ただ、やはりキャンプでの調整が不十分だったのか、シーズン序盤は低空飛行が続いた点は勿体なかった。(以下で詳細に述べる。)
2.成績指標
598打席 514打数
安打165本(単打100本、二塁打37本、三塁打2本、ホームラン26本)
四球69個(うち敬遠10個)、死球7個
三振74個 BB/K 0.932
併殺打7本
打率 .321 出塁率 .403 長打率 .553 OPS .956
P/OUT 6.61(1アウトを取るのに必要な投球数)
オリックスの日本人打者でここまでのレベルの成績を残したのは2014年の糸井くらいで、普通とはちょっとレベルが異なる成績だと思う。よくぞまあこんな選手が、ドラフトで一本釣りできたものだとつくづく思う。
3.成績の推移
- 175打席目(5月20日頃)までOPS .800を下回る低空飛行
- 5月下旬から調子が上がり、6月中旬からOPS .900前後を維持
- 9月中旬以降の絶好調により、OPSを .956まで引き上げる
- 打席あたりの被投球数(青字)が4.0を上回ると、打撃不調なことが多い。ただし、シーズン終盤には当てはまらず、開眼した可能性がある。
- 日ハム戦で成績を悪化させることが非常に多い。事実、対日ハムはOPS .597と抑え込まれている。(グラフ上の緑のマルが日ハム戦)
4.日ハム戦での成績の悪さから、来年度への改善と対策を考える
ここまで露骨に数字が出ると、日ハムバッテリーの吉田への攻め方を考えなくてはならないと思う。
私の考えを述べると、
- 右ピッチャーのスライダーやカットボールでインコースをよく攻められた。また、日ハムのピッチャーがよくそこに投げきっている。(上沢、マルティネス、高梨、有原など)
- さらに加えて、落ちるボールを投げる投手も多い。
- 左ピッチャーも逃げていくボール(スライダー)をよく制球しており、なかなか捉えづらかった。
である。要は日ハムバッテリーがよく攻めたと褒めざるを得ないということだ。また、吉田だけが徹底マークされた結果、このような事になったのではと懸念している。
ただ、次でまとめるが、日ハムバッテリーへの対応はシーズン終盤のフォームなら大丈夫だろう。
5.フォームの変遷
4月3日 右肩が入りすぎ? △
5月8日 重心が低く、体がくの字に。左肩が上がりすぎで、右肩も入っている。 ×
6月1日 まだ重心が低く、体もくの字。グリップの位置が低くなったが、まだ固い。 △
7月3日 まっすぐ立つ。グリップの位置がさらに下がる。 ◯
8月1日 グリップの位置がさらに下がる ◯
9月1日 リラックスして、自然体に見える ◎
10月4日 非常にゆったりしている ◎
フォームについてまとめ
実際にキャプチャではなく、動画でみると分かりやすいのだが、シーズン序盤はバットを持つ手をこねくり回していて、慌ただしく見えた。
それが、シーズン終盤頃になると、体(胸)の前でバットをゆったり持って上下させているだけで、非常に始動がスムーズに見えた。
来シーズンも2018年終盤のようなフォームで臨めれば、かなりシーズン序盤から好成績を残すのではないかと思う。(あと、エルボーガードは赤色が似合うと思った。)
6.2019年シーズンに向けて
体さえ問題なければ、2018年シーズンと同等の成績を残すことが大いに期待できる。しかし、スイングを見てもそうだが、体に負担がかかるスタイルなのは間違いない。若いからといってフル出場させたりすることは何の意味もないので、守備固めを送ったりDHでの起用を増やしたりすることで、とにかく吉田のコンディションを最優先で考えて欲しい。
「吉田正尚の2018年シーズンを振り返る(2018年12月26日)」への13件のフィードバック