オリンピック野球 初戦ドミニカ戦を振り返って+コロナのこと(2021年7月28日)

勝利!スコアはこちら(ニッカン)から。

辛勝だが、初戦を勝てたのは戦略的にも心理的にも大きい。ざっとだが、感想をまとめていきたい。

<投手>

登板順に振り返っていこう。

  • 山本は調子よい。
    全体的にまんべんなく球種を使うことができた。特定の球種に依存したり偏ることもなかった。また、カットボールが平常時より安定しているように見えた。ボールの違いの影響もあるかもしれない。序盤はかなり慎重になっていた様子だった。初回をダブルプレーで切り抜けられたのは明暗を分けるポイントだったかもしれない。

  • 青柳は今後使えるか?
    2失点したが、左バッター(スイッチ含む)のインコースを攻めることができず、窮屈で単調なピッチングになっていた。今後、接戦で使うにしても、右バッターが続くところで投げてもらうことになるだろうか。

  • 平良は心配いらない。
    打者1人にしか投げなかったが、いつもどおり、信頼度の非常に高いピッチングをしてくれると思った。

  • 山崎は普通。(若干調子悪い?)
    ちょっと次の接戦で投げさせるのは怖さがあるかもしれない。

  • 栗林は大丈夫だと思う。
    登板当初は制球が悪く、真っすぐとフォークの単調な投球で失点したが、イニングの後半はカーブも効果的に使えていたし、制球も安定していた。十分信頼できるように思った。

<野手>

  • 序盤~中盤は、相手先発のメルセデスのピッチングがよかったので、なかなか思うようなスイングをさせてもらえなかった。その中でもちょっと絞り球ができていなかったような印象を受けた。審判の判定がメルセデスに辛目だったので、点を取っておきたい展開だった。(ドミニカのキャッチャーが露骨にミットを動かすのが審判に嫌われたのかも、と思って見ていた。)

  • オリックスファンだから言うわけではないが、吉田の打席でのアプローチは他の打者とはちょっとレベルが違った。日本の3番で何の文句もない。吉田の前後にしっかりと調子のよい打者を並べたい。

  • 個人的に心配な打者は何人かいるが、その中でも柳田は特に心配。脇腹の不調も言われているが、本来の状態からほど遠いように見える。結果として2本ヒットを打ったが、引っ張りが難しいように見えるので私が対戦相手だったらインコース中心で攻める。で、何が問題なのかというと、再三言われているが本職のセンターが柳田しかいないということ。柳田の状態(コンディション)が上がることを願うばかりだ。

<采配等>

戦略もあるから、継投などの采配についてあまり断定的に論じることはできないが、”良くはない”というのが率直な感想。いくつか思ったことを。

  • 菊池をスタメンで使うのは反対。
    率直に言って、菊池は打力が見劣りする。なぜセカンド山田、DH近藤(吉田)にしないのか、不思議でしょうがない。2番近藤など、相手からしたら最高に嫌だろうと思う。

  • 7回のノーアウト2塁3塁で菊池に代打近藤を出せなかったのは、判断が鈍いと思った。1点を取りたい(走者を進めたい)場面で、菊池に任せるのは荷が重い。

  • 8回のサードコーチャーの判断は博打だった。
    タイミング的には、相手にミスが出ないとアウトになるプレーだった。焦りがあったか。1アウト1塁3塁で4番の鈴木で十分に妥協すべき場面。もっと打者を信頼して、じっくり攻めればよい。
    少し脱線するが、山田が本塁に突入したときの走塁は残念に思った。昔の投稿で書いた通り、捕球の流れで捕手が本塁前(走路)に入って来たら、容赦なく突っ込めばいいのだ。今回のプレーでいえば、思い切りスライディングして転ばせるくらいすればよかった。それを、大人しく避けて(減速して)アウトになってしまった。気迫というか執念のような意志は感じなかった。(9回の甲斐のセーフティスクイズでの源田のホームへのスライディングは流石だった。もちろん状況は全然違うが。)

  • 次戦のメキシコ戦は、早い回からリードを取りながらいろいろな投手を試せるかがポイントになるだろう。ある意味、負けてもよいくらいの気持ちで、多くの投手の見極めをすることが大事だと思う。

 

(雑談)

例によって、雑談が一番長くなります(笑)。

本日、7月28日は国内で9,583人のコロナ感染者が報告され、過去最多の人数となった。

私はオリンピックは前々から書いている通り開催するべきではなかったと思っている人間のひとりだが、一部であるような「オリンピックをやっているから感染者が増えるのだ。だからオリンピックを今から中止にすべきだ。」というような考えには全く賛同しない。

すでに始まってしまった今から中止にする方が混乱が発生するし、全体的にリスクが大きい。オリンピック中止の”point of no return”は、せいぜい5月くらいだっただろう。

また、日本全体に広がる感染拡大は、オリンピックが直接的にもたらしているわけではない。オリンピック関係者に感染者は出ているが9,583人の中のごく一部であって、オリンピック関係者から一般市民に感染が広がっているとは考えにくい。

しかしながら、オリンピック開催が、この感染拡大と因果関係がないわけではないだろう。「オリンピックのような大きなイベントをやるくらいなのだから、別にいいだろう。」という捉え方をしている人はいるだろう。その結果か、一部地域では緊急事態宣言(現状、最も高いレベルのアラート)が出てさえいるのにもかかわらず、感染拡大に歯止めがかからない状況が続いている。つまりは、オリンピック開催と緊急事態宣言等が、”相反するメッセージ”となって、人々に受け止められている。

また改めて振り返ると、感染が拡大する時期というのは人の動きが大きい時期である。

第1波:2020年4月頭~
第2波:2020年7月下旬~
第3波:2021年12月末~
第4波:2021年3月下旬~5月中旬

3・4・5月=春休み・転勤・入学・ゴールデンウィーク、7月=夏休み、12月~1月=年末年始といった時期と見事に重なっていることがわかる。なお、感染者数のデータはこちらのページ(NHK)から調べることができる。

これを考えても、夏休みの期間に開催するオリンピック・パラリンピックを安定した状況で迎えることができないのは自明であり、感染症対策上の負の相乗効果が起きるのは予想できたことだ。しかも、第4波の際の緊急事態宣言は十分な下げ止まりをしないまま解除してしまったし、より感染力の高い変異株(デルタ株)が主流になることも時間の問題だと分かっていた。だから思ってしまうのだが、「東京で3,000人の感染者!過去最多!」というようなニュースに今更大騒ぎするのはちょっとおかしい。完全に予想の範疇であるべきだろう。

さて、医療体制のひっ迫状況が、東京を中心に起き始めていると言われている。こうなると、オリンピック内で感染者が拡大したときに、どのような医療サービスが提供できるのだろうか。まさか飛行機に乗せて母国に帰ってもらうわけにもいかないので、日本で治療するしかないのだ。日本国民の治療と両立できるのだろうか?

そして、世界中で様々な変異株が発生している中で、このオリンピックが変異株の”展覧会”となり、各国に様々な変異株が持ち帰られる事態となることを、完璧に防ぐことはできるだろうか?

スクリーニングは可能な範囲で行われているが、選手村滞在者(選手)から陽性者が出ている時点で「安心・安全」と言える状況ではない(むしろ、破綻している)。さらに言うと、PCR検査で陰性だからと言って、体内でウイルスが増殖していない(感染していない)とは限らないのに、濃厚接触者であっても、試合開始の6時間前に陰性でさえあれば競技に参加できるという報道すらある。(プレーブックに載っていないようなので、正確には不明。)このウイルスの厄介な性質のひとつ、潜伏期間が長いということを忘れてはならない。競技が終了してから(または敗退してから)48時間以内に出国するというルールも、潜伏期間を考えればどれだけ実効性があるのか眉唾だ。

このように、ラグがありつつも、世界中に着実に感染が拡大する可能性を否定しきるのは難しい。これだけの大規模な国際的イベントを感染拡大リスクを完全に防ぎ切ったうえで開催することの方が難しいと感じていた国民が多かったからこそ、世論調査でも反対派の方が多数だったのだし、専門家の先生方も「普通は無い」と発言していたのだ。

そんな中でオリンピックを開催したことの是非は、もう過去の話なので置いておこう。これからは今後の感染拡大を防ぐための行動を国民にどのように呼びかけていくのか、というあまりに大きな難題に立ち向かわなければならない。ワクチンがすべてを解決してくれるわけではないことは、諸外国の例からもう分かっている。

私は、「一寸先は闇」の意識を全員が持つことが重要ではないかと思う。それは、「いつ自分が感染し、どのような症状が出るか(そして、どのような後遺症が残るか)分からないこと」や「いつどのような変異株がどこで発生するかも分からないこと」という危機意識を持つことだろう。その共通意識を持って、政府と国民が協調していくことが必要だ。(と理想論だけ述べたが、どのように実現したら良いのかはちょっと思い当たらない。)

五輪関係でいえば、オリンピック閉会式やパラリンピックの開・閉会式を縮小するなどの対応はできる範囲で取った方がいいだろう(出来るのかどうか分からないが)。

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