長いシーズンが終わった。結果は6位・・・。一番弱いチームということだ。受け止めよう。
今後このブログも2020シーズンに向けてのアイディアを発信していくことになるが、その前にまずは2019年の良かった点・悪かった点をしっかりと認識しておくことが大事である。
ということで、これから個々の選手の成績を振り返っていきたいと思う。第1弾は、先発投手から行こうと思う。(なぜ先発投手からかと言うと、人数が少ないから楽だろうと思ったからである。)
1.山岡泰輔
投手陣のMVPを選べと言われれば、多くの人が山岡の名前を挙げるだろう。170イニングを投げ、13勝4敗は非常に立派な数字である。最高勝率のタイトルも取り、初タイトル本当におめでとう!先発した26試合中、19勝7敗と山岡が投げる試合は勝つ確率が高かった。
防御率3.71は物足りない数字なので、来年はもっといい数字を期待したいが、そのためにはどうならなければいけないかと言うと、不調期を無くすこと・短くすることが山岡の場合は必須である。起用する方も慎重にならないといけない。(120球以上投げると、次が不安定になるのかなと思う。)
特に今シーズンは、オールスター明けからの約2ヶ月間の絶不調期は本人もしんどかっただろう。ただ、その期間でも負けがあまりつかなかった(打線とのめぐり合わせが良かった)のが、タイトルを取れた大きな要因だろう。
来シーズンに向けて好印象なのが、シーズン最後の3試合は見事復活していたことだ。フォームを変えていたが、本人の感覚的にも非常にしっくり来ていたのだと思う。タメをしっかり作っていて、自分のタイミングでしっかりとボールを放れていた。ボール自体の質も不調期とは雲泥の差であった。
具体的なピッチング内容としては、チェンジアップが今年はイマイチで、そこまで使えていなかった印象だ。コントロールも悪いし、抜け自体も去年までの方が良かったと思う。だが、カットボールはよく変化してくれることが多く、制球も安定していて、大きな武器になっていた。スライダーも例年通り良かった。
また、例年より制球が向上していて、四球が少なくなったのも良かった。確かに制球を乱して四球を与えることがあまりなかったように思う。
来年に向けての課題は、もっと遅いボールを増やすことだと思う。チェンジアップも1試合で10球投げるかな?という程度だし、カーブも投げられるのに投げない。カーブは現状でももっとカウント球に使えるはずだし、チェンジアップは決め球としてもっと強力なレベルに持っていきたい。
また、今シーズンから投げ始めたフォークは試合では全然見なかった(1試合に1球有るかどうかくらい?)。確かにカットボールが低めにいけばそれで空振りが取れるので、あまり必要ないかもしれないが、私は山岡のフォークは結構いいボールだと思うのだけどなあ。
2.山本由伸
最優秀防御率おめでとう!山本がこのタイトルを取るのは当然というか、納得でもある。
山本の今シーズンは、2018秋の先発転向直訴から始まったことを忘れてしまった人もいるだろう。当然ながら、先発か中継ぎかという論争もあったが、山本にとっては良い結果になっただろう。(山本がいなくなった分、中継ぎがどうするのか?という点は最後まで解決されなかったが、先発がダブついているわけでもないし、それは本質的な問題ではない。)
今シーズンから投げ始めたカーブは、カウント球としても良し、勝負球としても良し、と使い勝手が良かった。ツーシームもよく変化していて優秀だ。(私は山本のベストボールはツーシーム派だ。カットボールは制球がちょっと良くない。)
来年に向けての改善点は、①力を抜いて抑える、②スライダーの改良の2点を挙げたい。
まず①について。全力で投げた155km/hの真っ直ぐで三振というようなシーンを何度か見たが、そんな投球では一年もたないし、怪我にもつながる。持っているものからすると八割の力加減で抑えられるのだから、もっとスマートな投球を期待したい。
②は、直球系ともカーブとも違うタイミングのボールが欲しいということだ。本当はチェンジアップがいいと思うのだが、チェンジアップは投げられない(実況で大前さんが本人から聞いたと言っていた)そうなので、それならばスライダーをスラーブ系にしたらどうかな、と思う。現状のスライダーでも悪い球とは思わないが、もっと抜けがあって、遅い方がいいだろう。
3.K-鈴木
オリックスで3番目にイニングを投げたのが、K-鈴木だ(102 1/3イニング)。防御率も4.31と、2年目にしては悪くないし、何より伸びしろがある(別の言い方をすると、直すべきポイントがある)。
投げ方(リリースの雰囲気)は1年目だった昨年から比べるとだいぶ良くなったが、まだコントロールは不安定だ。それは49個という四球数にも表れている。つまり、約2.1イニングに1個は四球出す計算だ。フォームの安定とコントロールの改善は来年に向けての必須事項だ。
また、ボールで言うと、真っ直ぐとスライダーは良い。ツーシームもカウント球としては良い。しかし、カーブはただのカーブという感じで、もうちょっとなにか特長があるといいのだけれど。あとは何より、フォークの精度改善も大きな課題だ。
本当は二軍でもうちょっとフォームを固めてからの起用が良いとも思うが、チーム事情的に難しいのが辛いところだ。あと、私はこれはずっと言っているが、中継ぎのほうが向いているのではないかなあと思う。
真っ直ぐとスライダーとフォークの3球種だけに絞って調整して、最悪困ったら力いっぱいの真っ直ぐで押し切る方が本人の長所が生きる気がしている。
4.榊原翼
2018オフはウィンターリーグにも派遣されるなど、シーズンの開始前から疲労が心配された。オープン戦も不調のことが多く非常に心配だったが、シーズンが開幕すると安定してQSが期待でき、投球自体も四球は多いものの安心して見られる事が多かった。
榊原の良いところは、被打率が低いところだ。だから四球でランナーを出しても点はそこまで取られない。実際、防御率は2.72(79 1/3イニング)と優秀だ。
投球の特長は真っ直ぐが強いところだが、スライダーとフォークをちゃんと低めに投げ込めるのも大きい。カーブでもカウントが取れる。だが何よりの武器は、スライダーの質だろう。真っすぐの軌道から、ブレーキが掛かってしっかり曲がる。非常に強力なボールだ。
ただ、6月末からは肩の怪我による離脱があり、シーズン終盤に1試合投げたが、決して本来の内容ではなかった。結局は、真っ直ぐの球筋が落ち着くかどうかがバロメーターだ。
5.アルバース
復帰して1試合目は良いピッチングをするのだが、全く長続きしない。
今シーズンのピッチングについて言えば、真っ直ぐが来ないから、チェンジアップも生きてこない。右バッターのインコースへの真っ直ぐが減ったと思うが、真っ直ぐが来ていなかったのが理由だろうか。コントロール自体はそこまで悪くなった感じはしないので、しっかりと体のケアをして良いボールが投げられるように頑張ってほしい。
また、腰痛の影響が大きく、コンディションが保ちにくいのだろうか。だが、来シーズンもこれでは困る。腰痛が厳しいならば、中10日間の即抹消の起用方法はどうだろうか。
6.竹安大知
キャンプの頃は、真っ直ぐとツーシームだけの印象だったが、フォークがちゃんとストンと落ちて、カーブでカウントが取れるピッチングを披露してくれた。スライダーも有る。
ハマると良いピッチングをする(完封もした)が、打たれるときは歯止めがかからない。私が思うに、ピッチングが単調というか、タイミングを変えるボールが殆どないから、どうしても不安定になるのではないかと思う。スライダーがもうちょっと抜けるといいのだけれど。あるいは、真っ直ぐがもう少し(2、3km/hくらい早くなって)威力があれば。
また、もっとインコースをどんどん突いていくようにして、打者に怖さを植え付けるようにするのも効果的だろう。
7.田嶋大樹
復帰した頃は、ゆったりしたフォームからぴゅっとくる真っ直ぐで勝負が出来ていた。しかし、しばらくするとフォームのゆったりさがなくなって、見たまんまの力感から見たまんまの真っ直ぐしか来ない投球が続いた。
コントロールももともと良くなく、不安定であった。田嶋については、肩の怪我もあるし、フォームが固まるまでは二軍漬けを推したい。(私は田嶋のポテンシャルはものすごいと思っているのでこの提案をすること自体が残念だが、今後のためにもフォームをまずは固めねばいけない。)
私は、田嶋はゆくゆくは杉内と菊池雄星を混ぜたような投手になれると期待している。だからこそ、真っ直ぐの威力がなくてスライダー、チェンジアップも効いていなくて、ポンポン長打をくらう田嶋を見るのは非常に辛い。
8.荒西祐大
即戦力として期待されたが、即の戦力とは行かなかった。ただ、2018年ドラフトで、ドラフト1位を除いて、荒西以上に戦力になっている新人投手は楽天の弓削投手(SUBARU)くらいだろう。(だから、ドラフトの失敗では決してない。少なくともここまでは。)
荒西のピッチングは私は好きである。真っ直ぐで押せるときは、概ね良いピッチングをする。左バッターのアウトコース(右バッターのインコース)へのインコースのコントロールと威力が素晴らしい。だから、左バッターも苦にならない。
変化球はフォークとカットボールは良いが、スライダーが抜け球になることが多く、痛打をくらっている場面をよく見る。来年は、スライダーの質向上がカギだろう。あとは、カーブをもっとカウント球として使って良いと思われる。
9.張奕
良い回転の真っ直ぐを投げるが、ローテに入って安定したピッチングを継続できるクラスの投球は続かない。コントロールは概ね落ち着いているが、時折乱れる。
カーブ、スライダー、スプリットとそれぞれ一定の水準にあるが、一番特徴的なのはカーブだろう。ちょっと遅めのパワーカーブで、その代わり曲がりが大きい、という感じだ。
スライダーは真っすぐの軌道から小さくキュッと曲がる。このボールが一番コントロールが不安定だが、コーナーに決まるとなかなか良いボールに思う。
とにかくスタミナをつけて、安定して継続して長いイニングを投げる先発になってほしい。
10.東明大貴
開幕ローテ入りも、ボール先行のピッチングが続き二軍落ちになった。改めて見ると、19イニングで16四球はひどいな。。二軍では中継ぎ調整をしている。来年は中継ぎで勝負して欲しい。
11.成瀬善久
コントロールは良いが、ボールの勢いは感じない。ストライクが広めの球審じゃないとなかなか辛い。
「2019オリックスの成績を振り返る<先発投手編>(2019年9月30日)」への18件のフィードバック