2019オリックスの成績を振り返る<中継ぎ・抑え投手編>(2019年10月1日)

 

この記事では、2019年シーズンのオリックスの中継ぎ投手陣(抑え含む)の成績を振り返る。(登板数順)

1.海田智行

開幕は2軍だったが、4月中旬に1軍登録されると、そのまま安定したピッチングを継続した。

カットボール、スライダーが良かったのはもちろんのこと、フォークが非常に有効だった。カウント球としてもよし、勝負球としてもよし、とピッチングの軸になった。

コントロールも安定していて、49イニングで11四球と優秀だ。防御率1.84、WHIP1.06は非常に優秀な数字で、間違いなく一番頼りになった中継ぎだ。被本塁打もわずか1本と、低めにボールを集めてよく動かした証拠だろう。

ただ、7回、8回を任されたというよりは、少し流動的な役割だったので、来年はしっかりと7回、8回の方程式の中に名前が出てきて欲しい。

2.増井浩俊

当然のクローザーとして始まったシーズンだったが、不安定な投球が続いた。また、それが改善する気配もなく、調整のための二軍落ちも何度か経験した。

ピッチングを見ていて、真っ直ぐのキレやフォークの抜けが2018年と比べて段違いだったと思う。投げ方を見ていても、力が入っていて見ていて苦しくなる気配がした。1年なんとか投げたが、身体のケアが今まで以上に必要な状況だろう。

ただ、8月は昨年の良かった頃のボールが行っていたと思う。腕のしなりを非常に感じた。しかし、9月になるとまた苦しい頃に戻り、来シーズンに向けて心配である。

個人的には、来年36歳ということもあり、段々と厳しくなっている印象だ。もしオリックスがFAで(Bランク以上の)選手を獲得した場合、プロテクト漏れも大いに有り得ると思う。

3.近藤大亮

9月に練習中の鼻骨骨折で登録抹消になるまで、コンスタントに1軍で投げてくれた(調整のための抹消はあったが)。

トータルでは2018年とほぼ同じような成績だが、2018年のように短期間で酷使されて残した数字ではないし、ある程度2020年シーズンのコンディションが期待できる。

今年のピッチングは、例年よりも変化球を多く使う意識を持って、スライダー、フォークを使えていたと思う。カットボールも良かった。私が近藤に来年期待したいのは、

・若いカウントで思いっきりストレートを投げ込んで、楽にフライアウトを取る。
・連投になってからの投球の質の向上

の2点だ。どうしても球数が多く、苦しいピッチングになりがちなので、ストライクを取りに行くのは大胆で良いということとそして、重要なポジションを投げるためには連投に対する耐性を上げる必要があるということだ。

4.比嘉幹貴

全体的にボールは昨年ほどではなくイマイチだったが、夏までのブルペンを支えてくれた。序盤から行くこともあれば、終盤に出てくることもあり、肩を作る頻度は一番多かっただろう。

もうちょっと真っすぐのスピードが戻るくらいのコンディションになってくれればと思うが、この12月で37歳になるし、調子のいいときに使うくらいの起用がちょうどよいだろう。

5.山田修義

2018年に、月間登板数の日本タイ記録を達成するなど酷使にあった山田だが、今年は7月から投げまくった。7月3日〜9月28日で36登板と、酷使にあった。

ボール自体も、昨年の良かった頃ではなかった。特に制球が乱れる事が多く、ランナーが溜まっている場面で出てくると非常に厳しかった。

山田も来シーズンに向けてしっかりケアをしてほしい。

6.ディクソン

ディクソンの抑え転向は、今シーズンを乗り切るためには欠かせなかったと思うが、私は2019年もディクソンが抑えをやるのは賛成ではない。

まず、37登板で防御率3.03、WHIP1.32は抑えとしては物足りない。結局、ディクソンの強みは多彩な変化球(ナックルカーブ、チェンジアップ、スライダー)と、ツーシームで球数少なく抑えられるところだから、先発でコンスタントに投げてくれたほうが貢献度が大きくなると思う。

ディクソンのフォーシームははっきり言って棒球だと私は思っているので、フォーシームとナックルカーブだけのディクソンは限界があると思う。

(そもそもリードを変えればいいだけの話なのだが、オリックスには真っ直ぐ(フォーシーム)で押しきるべしという謎の風潮があるので・・・)

7.山﨑福也

キャンプの頃はまっすぐに強さがあって期待していたのだけれども、シーズンが始めるといつも通りだったなあ。

ビハインドやロングリリーフで出てくる分には全く不満のない投球をするが、それより大事なポジションはちょっと任せにくい。

ここ何年も同じような状況なので、個人的にはトレード候補の筆頭。環境を変えて、自分自身のなにかも変えてみることをトライした方が良い気がする。

8.吉田一将

シーズン当初のボールは全然ダメだった。2018年にあれだけ酷使されたのだから、ごく当然のことだと思う。その後も低空飛行の状態が続いたが、8月からは本来の投球を取り戻した。真っ直ぐがちゃんと来ていた。

私は、吉田は先発で十分に投げられると思うのだけれど、なぜいつも中継ぎになってしまうのだろうか。春先がいつも不調だからどうしてもローテーション入りを逃すからだろうか。

コントロールがあってスタミナもあるし、大崩れしないである程度イニングを消化してくれると思うのだけれどなあ。カーブもいいボールなのに。

来年の起用がどうなるかは分からないが、大きく期待できる。(去年の山本のように、吉田は先発起用を直訴したら良いと思うのだけれどなあ。)

9.澤田圭佑

シーズン当初から、本来のボールは全然来ていなかった。それでも勝ちパターンの中継ぎとして、4月・5月とチームを支えてくれた。

怪我で6、7、8月と離脱し、8月下旬に復帰したが、まだ全然ボールは戻っていなかったうえに、打球直撃で即抹消になった。

9月下旬に帰ってきてからは、本来の真っすぐの勢いがあり、いい状態のところを見せてくれた。あれだけ真っ直ぐに勢いがあればチェンジアップが生きてくる。

カットボールのコントロールも安定しているし、来年のコンディションも期待できるので、勝ちパターンでの活躍を期待したい。

10.エップラー

武器になるボールが無いので、どうしても苦しいピッチングになる。真っ直ぐも良くはない。

まだ若いので、成長に期待して残留というのもアリだろう。(どこかしらで1軍の戦力になってくれれば嬉しい。)

11.小林慶祐

うーん、見ていて苦しい投球が多い。スライダーは抜け球が多いし、真っ直ぐとフォークも一流のボールではない。全体的にコントロールを磨くのと、中継ぎに絞って年間を通して調整した方が良いのではないだろうか。二軍での成績もパッとしないし、かなり苦しいところだ。

12.神戸文也

シーズン終盤、1軍で安定したピッチングを披露してくれた。

真っ直ぐのコントロールが良く、カウントを取れるのが好印象だ。ただ、真っ直ぐで押すタイプではなくて、フォークとのコンビネーションに加えて、スライダーも織り交ぜていくタイプだ。

私は神戸の一番のボールはスライダーだと思うので、もっとスライダーを使って楽に組み立てて行けばいいのではと思うのだけれど、来年はどうなるだろうか。真っ直ぐももっと速くなれば、なお面白い。

13.斎藤綱記

二軍では良い投球ができているのに、なかなか一軍でチャンスが与えられなかった印象だ。全体的に制球アップが必要なのかな。

14.岩本輝

忘れてしまった人も多いと思うが、今シーズンの勝ちパターンは岩本→澤田→増井で始まった。オープン戦で残した成績が良かったからと言う理由で抜擢されたのだと思う。確かにあのときは中継ぎ陣がボロボロでどうしようもなかった。

開幕するとボコボコに打たれ、わずか3登板で抹消になった(つまり、方程式がすぐに瓦解した)。その後、8月下旬に一軍に登録されたが、2018年の良かった頃のボールとはかけ離れていた。2018年の酷使で潰れてしまったのかな、、、という印象が強い。来シーズンが勝負の年になるだろう。

15.金田和之

金田がもうちょっと一軍で投げてくれると、チーム的にはとても嬉しい。9月に二軍で良いピッチングをしていたし、二軍での防御率が0.00だ。戦力外ということにはならないだろう。

16.吉田凌

二軍では良いピッチングを継続している。来年は23歳になり、同い年の大卒ルーキーが入ってくる。一軍で勝負の年だ。

17.左澤優

二軍でも数字は残せていない。頑張ってほしい。

18.岸田護

とうとう引退してしまった。岸田は本当にコントロールが良かった。出始めの頃はよく、吉井やらがKOされた後にロングリリーフでピシャリと抑えていたなあ。

若いときから怪我が多く、中継ぎで1年活躍したときは素直に驚いた記憶がある。

先発で投げていたときは、間が長いのでどうしてもダラけて見てしまった。タイプ的にも中継ぎ・抑えで勝負していたときが一番輝いていたように思う。岸田がいるときに優勝することができず、本当に残念だし、ふがいない。

先発で2桁勝ったときは、もうだいぶ前なのでうろ覚えだが、何とか到達したという雰囲気だった気がする。やっぱり印象に残っているのは、クローザー時代のハラハラかな。西武のブラウンに逆転2ラン打たれたりとか、確か2010年だったと思うが、2アウト満塁でロッテの金泰均(キム・テギュン)にライト線ギリギリの打球を打たれて、ライトの下山がセルフジャッジしてファウルとアピールしていたシーンを思い出す。(本当にファールで、その後抑えて勝ったはずだ。)

改めて振り返って、2014年の55登板で80 1/3イニングというのは、いくら4試合先発登板があったとは言え、ちょっと異常ではないだろうか。でも、記者会見でのサトタツからの花束と、引退試合での馬原と平野からのビデオレターは良かった。2014年を思いだした!

そして最後の3、4年(福良時代)は、もっと成績を残せたと思うのだが、冷遇が目立ったと思う。リードでも、特徴的なあのカーブをもっと使えば抑えられるのにと思って見ていた。そうこうしているうちに140も出にくくなり、とうとう引退になった。

岸田のような生え抜き選手に優勝を経験させてあげられなかったチームは、これは大罪だろう。私は非常に悔しい。

2軍の投手コーチに就任するそうなので、ビシビシ若手を鍛えてほしい!これまでありがとう!

19.富山凌雅

シーズン最終盤で1試合だけ1軍で登板したが、十分に面白いと思わせてくれた。腕の使い方が独特で、肩が柔らかいのだろうか、肩が後ろに入ってワンテンポ遅れて出てくる。

そういったタイミングの取りづらさやボールの見づらさから、真っすぐの球速は140そこそこだが、バッターが差し込まれるシーンが目立った。今後に期待したい!

20.鈴木優

※1先発だが、オープナー的な登板だったので、中継ぎにした。

一軍での出番に本当に恵まれなかった。二軍で絶好調のときに、一軍で先発機会があれば見てみたかったと思うが、たらればを言ってもしょうがない。

二軍での投球を見ていると、ランナーが出ると途端にコントロールが不安定になる印象だ。ここをもっと改善できると、一軍でのローテ入りが近づくだろう。

 

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2019オリックスの成績を振り返る<中継ぎ・抑え投手編>(2019年10月1日)」への28件のフィードバック

  1. いつもブログ記事を拝見しています。

    自分はファン球団が無くプロ野球として楽しんでいますが、オリックスは惜しいチームですよね~。伸びしろはあるのに全く埋まらないって印象です。

    ドラフトで長打が期待出来ない1.5軍クラスの大卒社会人野手を取り過ぎて枠を圧迫してるように見えるので、吉田、頓宮の流れで大卒スラッガーが欲しいところです。守備走塁に定評のある内野手というのはある程度毎年獲得チャンスがあるので、打撃重視で指名してほしいですね。

    投手では他球団が高校生の目玉に目がくらんでいるところを、田嶋、山岡としっかりNo.1の社会人投手を獲得出来ているので、今後の伸びしろ十分だと思います。

    後は優秀な捕手とバッテリーコーチがいれば、というところでしょうか。監督の采配も疑問が残りますね。中継ぎ陣を雑に使い過ぎて焼け野原状態になってるのが見てられません。ここはドラフトよりも首脳陣の問題でしょう。

    1. 黄金旅程さん、

      コメントありがとうございます。
      オリックスの問題点を的確に把握されていて、思わずそうそうと頷いてしまいました。

      ここ数年はドラフトでもポテンシャルの高い野手や、真の即戦力の投手を取れているのであともうちょっとと感じています。
      ただ、ご指摘のとおり捕手とバッテリーコーチは、手術が必要なレベルと感じています。
      このオフはがっつり補強して、中堅どころの世代をしっかり埋めて、来年の優勝を目指してもらいたいです。

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