山本のピッチングはいつも楽しみに見るのだが、毎年数回は立ち上がりの数球を見て「おっ、これは完全試合あるのでは?」と思うくらいのボールが来ていることがある。今日の試合も、正にそのような状態の良さを立ち上がりから感じた。
単にボールが良いというだけでなく、フォームが良かった。このブログを読んでくださっている方ならご存じのとおり、私が山本のフォームのチェックポイントにしているのは、「フォームが縦回転になっているか」だ。今日のフォームは、今シーズンで一番良かったと思う。完成形と言っても良い。
いつもより、球の出どころが見にくく、腕の振りも良かった。その中でも、フォークのキレがこれまでのピッチングとは比べ物にならないくらい良かったと思う。これまでのフォークは「投げた時からフォークと分かる球」だったが、去年までの良いフォーク、つまり「打者の手元で鋭く落ちる球」になっていた。
低めのフォークを引っ掛けさせて、ゴロアウトを早いカウントでどんどん取れるのは、良いときの山本の特徴だ。(昨年のノーヒットノーランのときもそのボールが良かった。)
最近は、ツーシームが右バッターに食い込む球になっていて、フォーム的には改善傾向にあった。(しっかり縦成分がないと、あのような、フォーシームと違うボールにならない。)
今シーズンはこれまで、防御率などの数字は素晴らしいのだが、ピッチングとしては物足りない部分があった。具体的な数字で言えば、イニング数が昨年より物足りない。昨年は1登板あたり7.42イニングだったが、今年は本日終了時点で7.15イニングだ。(「そんなに違わないではないか」と思う人もいるかもしれないが、例えば打率 .330と打率 .300だってわずか3%の差だが、体感的・直感的には非常に大きな差に感じるだろう。)
今年は打者からアウトを取り切れないことが多い分、どうしても球数を要し、イニングがどうにも伸びていなかった。WBCの影響もゼロではないだろう。しかし、いつも丁寧に粘り強く投げたからこそ、特に防御率が顕著だが、立派な数字を残している。また、真っ直ぐの威力が昨年より増しているためか、被本塁打が大幅に減少している。(昨年は193イニングで7本のところ、今年は今のところ143イニングでわずか2本。)
また、今年のピッチングはこれまで、フォークで三振が取れることが少なく、カーブが例年以上にウィニングショットになっていた。これは、消去法的な選択でカーブが決め球になっていたからであり、良くない傾向だった。
今日はしっかりフォークで三振(また空振り)が多く取れていて、内容が良かった。欲を言えば、カットボールがもう少し精度が高いと良かったのと、左バッターのアウトコース真っ直ぐがちょっと決まっていなかった。
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来シーズンは、山本はメジャーに挑戦する可能性が高いと言われている。昨年、正尚のポスティングの際もそうだったが、ファンとして寂しい残念な気持ちもありつつ、山本のやりたいことを純粋に応援したいと気持ちやどんなピッチングをするか見てみたい気持ちの方が強い。
特にメジャーでは小柄な部類に入る山本が、全身をしっかり使ったフォームで好成績を残すことは、私は意義が大きいことだと思っている。
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ところで、相当に久しぶりな投稿になった。勝率からも分かるとおり、勝ち試合を見ることが非常に多く、その事自体は嬉しいのだが、競争相手をなくしたシーズンに物足りなさがあり、自分の中でモチベーション低下している。
本当に強いチームかと言うと、最近の超貧打から分かるように決してそのようなチームではないのだが、相対的な強さはちょっと抜きん出ている。
投手陣の強さが最大の強みで、常に安定した戦いができている。大型連敗(4連敗など)はちょっと起こりにくいと思う。ただ、打線の淡白さ、進塁打の打てなさ、走塁面の弱さなどを考えると、もっともっと改善しなければならないのに、そこの部分の改善(のためのアクション)があまり見られず、なんとも不満な日々を過ごしていた。ただ、今日の試合で宗と紅林がベンチスタートだったことは、少し安心材料になった。
杉本は二軍調整を経て良くなったと思う。スイングの大きさが違うというか、スイングの際に右肘がどのあたりを通っているかを見ると、調整前と大きく違うのではないかと思う。どれだけホームランを打っても、しっかり基本(自分の形)に忠実にやってほしい。