手に汗握る、最高の展開だった。今日の試合を現地で見ていた方は、これ以上になく記憶に残る試合になったのではないだろうか。
とにかく、お疲れ様!!という気持ちだ。長いシーズンだったが、最後の最後、最高の試合を見せてくれて、ありがとう!
これで優勝できなくても、もう仕方ない。私はそう思えた。オリックス優勝の条件は、ロッテが残り3試合で、1敗(もしくは2分)することだ。ロッテが2勝1敗や1勝2分では、オリックス優勝だ。
もうできることは無く、待つだけだ。果報は寝て待てと言うが、私はこの格言に倣おうと思う!
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紅林の攻守に渡る大活躍と山本で勝てた試合だったと思うが、いくつか今日も感想を書いていこう。
- 田中のスライダーをほとんど打てなかった。
もう少し意識を持って欲しいとも思ったが、今日は外のストライクゾーンが広めだったので、余計に打ちにくかったと思う。それにしても、ボールを捉えるポイントが一体どこにあるのか、くらいの印象を持った。点が取れて本当に良かった。 - 全体的に野手に硬さがあった。
安達の落球に若月の落球と、通常時とは異なるプレーが目立った。ともに取り返しのつかないことにはならなかったが、この経験をポストシーズンの反省にしないといけない。そういった硬いプレーがあった中で、好守を連発した紅林の凄さがより光る。
※どうでもいい日本語の余談だが、「硬いプレー」と書くと緊張でカチコチのプレーを意味するのに、「固いプレー」や「堅いプレー」と書くと、強固だったり堅牢なプレーを指すようになるのは、日本語の難しさを感じる。(日常会話だと、会話の流れや雰囲気で察するしかないだろうなぁ。これと似たような話としては、「適当」という言葉も結構そういうものを感じる。) - 紅林は本当に一年間、成長した。
夏場前後などに、抹消するなりしてリフレッシュ期間を設けた方がどう考えても本来良かったと思う。その起用の是非はもう終わった話なので論じる意味が薄く、詳細に語るのは別の機会に取っておこうと思うが、1年間起用し続けたことにも、確実に意味があったと感じることができた。
特に守備での成長が顕著で、シーズン当初のしょっちゅうポロポロしていた時期と比べると、別人のようにすら感じる。ただし、送球の正確さだけはどの時期を見ても、常に超1流クラスだったと思う。
ここまで送球が安定しているショートはなかなか見たことが無いと思う。送球でのエラーが本当に記憶にない。危ないボールを投げてファーストが上手く捕球するというプレーもほとんど印象にない。送球が安定しているという強みがある分、その他の守備のポイントの練習に集中することができたのではないかと思う。
また、紅林の一番ともいえる長所は、体力だと思う。高卒2年目でショートでスタメンで出続けるなど、基本的に考えられない。しかも優勝争いをしているチームだ。体力がある分、試合にも出続けられるし、練習も継続することができる。これは、プロ野球選手として一番才能の部分に依るところかもしれない。紅林があの死球で骨折離脱していたら、間違いなく今日の試合は勝てていなかったと思うし、怪我をしないのはチームにとっても非常に貴重な才能だ。
本当に、チームに欠かせない存在になった。 - 山本の投球は素晴らしかった。
フォークがそこまで決まらず、いつものように軸になるほどのボールにはならなかった。困ったらフォーシームで押す場面が目立ち、まずはその球威があったことが完封の要因のひとつだろう。その次の要因はカットボールだ。後半戦は概ね安定していた球種だが、今日はコントロールが特に素晴らしかった。投球の中盤くらいにカットボールでスイスイと勝負できたのが、完封に繋がったと思う。このボールを安定して投げられたら、もっと楽に勝てる。
8回裏あたりから少し腕が横振りになってきて、苦しいのだろうと思って見ていたが、楽天打線がポンポンとフライを打ち上げてくれて非常に助かった。序盤・中盤・終盤と配球を変えることができた賜物だろう。
そして、今年のプロ野球界のMVPは間違いなく、山本だと思う。タイトルも総ナメだし、圧倒的な成績を残した。私がこれからの(と言うよりこれまでも)山本に期待するのは、もっと余裕を持って抑えること。メジャーに行くのは、日本でどの打者相手にも上からの目線で投げられるようになってからが良いと思う。 - ラオウ3割おめでとう!
3割がかかった最後の打席で、見事にヒットを打ってくれた。今年の杉本らしい、引きつけて右方向にしっかりと弾き返したバッティングで非常に内容があった。ノーアウト1塁の場面で進塁打の意識が見えた。
ホームランは、2010年のT(33本)に並ぶことはできなかったが、ホームラン王はほぼ手中にしている。(レアードが残り3試合で4本打たなければ抜かれない。)このホームラン数で3割を打ったのは立派としか言いようがない。
今シーズン、山本に次ぐ貢献度だと思う。 - 9回の2ランスクイズは見事だった。
制球が乱れ気味だったブセニッツから、セーフティーではなく普通のスクイズのサインを出すのは、スリーワンのカウントからとは言え、非常に勇気が必要だったろう。安達の打撃の状態、ブセニッツが大まかなコントロールはできていたことなどを総合的に考えての采配だったのだろうが、まさか2ランスクイズとは。駿太の走塁も素晴らしかった。 - Tは信用ならない。
9回、先頭ラベロが出塁し、杉本が繋いでのノーアウト2・3塁で3ボールから甘いボールを悠々と見逃してフルカウントになり、最後は空振り三振。全てがうまく行った9回において、唯一残念な打席だった。
8回裏に小深田にファースト内野安打を許したときのプレーも俊敏さが感じられず、のんびりしてしまっていたように見えた。ボールが弾まなかった故のプレーだったとは思うが、CSで1点差ゲームの終盤でも同じプレーをするのか?という疑問を、どうしても感じてしまう。
5回に四球で出塁して先制のホームインをした場面も、悠々ホームインのタイミングでヘッドスライディングで生還していて、真剣味に欠けているように感じた。ただの先制点の場面だ。
Tには何かと最近厳しいことを書きがちだが、あの千葉での逆転3ラン以降、どうにも信頼や信用を感じられるようなプレーが見えないように感じる。 - ラベロは良かった。
ゲッツーもあったが、割とどのボールにもアプローチができていた。長打が出る気配はないものの、甘いボールをしっかり強くコンタクトできているので、やはり相手目線、モヤよりも遥かに嫌な打者であるように思う。(現状データがないこともあり。) - 宗に打球が一度も飛ばなかった。
今シーズン、宗のサード守備には常に勇気をもらってきたと思う。その宗に打球処理の機会が無かったのは、今日の試合で一番残念だったことかもしれない。 - 福田と宗の復調が待たれる。
福田の打席を見ていると、現状はグラウンドが狭く感じてしまう。ポストシーズンまでに、しっかりと真っ直ぐを引っ張るバッティングを取り戻してほしい。
宗は、完全にスイングが乱れている。最短距離でボールを捉えるスイングではなく、バットが下から出てしまっているように見える。小島から打った同点ホームランが、麻薬のようにバッティングの幻想を見せているのではないかな。吉田がいない分、強く遠くに飛ばす意識が増しているのかもしれない。
二人には、ポストシーズンに向けてしっかり調整をしてもらいたいのだが、この状態が続くなら1番・宗、2番・福田の応急処置もアリではないかな。宗は1番でコンパクトな打撃を意識してもらい、福田は2番でチームバッティングでお茶を濁す・・・という。
ところで、CSのセカンドステージは11/10からだが、吉田が間に合う可能性はどれくらいあるのだろうなあ・・・。
いや、限りなく可能性はゼロに近いだろうし、もし間に合いそうでも無理は絶対にNGだが、やはり気になってしまう。そうそう、怪我で1軍にいないので実感があまり無い気もするが、吉田も首位打者おめでとう!
本当に勝ててよかった。冒頭でも書いたが、これからのロッテの3試合は、私は特に中継を見ないと思う。もう後は結果を待つだけなのだから、泰然自若でありたい。
お風呂から上がったら、「プロ野球:オリックスが25年ぶりにパ・リーグ制覇」のテロップがテレビに流れている。そんな感じで優勝を迎えたい。