オリンピック開催に反対だ（2021年5月5日）

オリンピックを実行しようとしている人々は正気か？

過激な見出しを書いたが、私はこれくらい今夏のオリンピックの開催に反対であり、開催を推進する人々が理解できない。その理由はいくらでも挙げられる。日本国民一般がこの夏までにワクチンの接種を完了しないこと、世界中で変異株が発生していること、日本でも様々な変異株（しかも感染力が高い）が現在進行形で広がっているいること、いくら無観客にしても多くの世界中からの人々が接触する機会になること、海外からの入国者を気にしている余裕はとても無いこと、開催にあたって万全な感染対策（これなら安心というレベルのもの）を施すという説明がないこと、などなど・・・。要は、開催を強行したときに、日本と世界で感染が拡大しないという保証や説明がどこにあるのだ？？これだけ大きなイベントを開催して、そのリスクを考慮しない方がおかしい。

世界全体でみて、感染拡大をいかにして終息させるかが今の人類のミッションだ。オリンピックを開催することで、日本としても世界としてもこの目標から遠ざかるばかりで、不幸にしかならないと思う。もちろんアスリートのことを考えると心苦しくはなるが、人命を軽視してまでも開催すべきだと考える人は誰もいないだろう。そうした世界に対する責任を考えたとき、オリンピック開催を無責任に謳う人々はただの人類全体に対するテロ行為をしているようなものではないか、と極端な言い方になったが、そのように私には感じられる。あまりにリスク管理を蔑ろにしている。

開催した場合に間違いなく世界中で感染が拡大する方向になると言えるが、その補償（賠償金）は誰が負担するのか？それは、東京都ならびに日本国である。日本で発生した感染者の責任は日本が取るのが自然だ。感染防止の措置を十分に取ったうえで開催できなければ、その対策が取れなかった日本が責任をとるのが当たり前の話であり、IOCが賠償金を払ってくれるはずもない。その賠償金や世界中に与える不幸と、オリンピック中止に伴う経済的損失を秤にかけたとき、どちらを選択するかはあまりに簡単な話だ。

もしオリンピックを開催したいというのなら、世界各国にこれくらい言わなければならない；

『開催時点で、日本で感染者が多く発生していて、東京都を中心に医療体制が逼迫しているかもしれない。日本全体での感染対策も不十分である。また、入国者の中には入国時にPCR検査で陰性で後から発症する者がいるかもしれない。
故に、オリンピック参加者・関係者が感染する可能性は大いにあるし、感染した場合に日本では十分な医療を提供できないかもしれない。さらに、競技での感染対策も十分に施せない可能性が高い。日本で感染した者が帰国したときに、様々な変異株を各国に持ち帰るかもしれない。現状ワクチンの接種率が高い国々でも、それをかいくぐるような変異株が広まることになるかもしれない。その場合でも、日本は一切補償しないし、責任を持たない。それでも参加したい場合のみ、各々の責任で選手団を派遣すること。』

私としては、これくらい言ってくれるなら、完全無観客で、オリンピック関係者と日本社会で生活する者たちを完全に分断したうえであれば、オリンピックはやってもいいのではないかと思う。現実的にこのような対応は無理であろうから、今夏の開催は断念すべきだ。その決定は、言うまでもなく早ければ早い方が良い。根拠なく、開催に向かってただ猛進する今の状況は、客観的に見て、ただの頭の悪い人々が悪い方向に頑張っているようにしか見えない。

また、今振り返って、何を反省すべきなのだろうか？

まず、東京都として、日本政府として、オリンピックを開催したいのならば1年延期を決定したタイミングで、どうしたら開催できるのかをクリアにし、それを確実に達成しなければならなかった。しかし、そのどちらも全くできなかった。第一に、ビジョン（予測）を持つことが出来なかった。1年という猶予を無為のまま過ごしてしまったようにしか見えない。1年という時間は問題を全く解決してくれなかったし、むしろ更に悪い方向に事態を変遷させた。

また、本当にオリンピックを実現したいという意思が全く伝わらなかった。本当にオリンピックを開催したければ、感染者数が拡大の兆候を見せた時点で措置を打つべきであるし、人々の行動が緩んできたらその引き締めを行うべきであった。むしろやっていることは逆で、措置を取ることをギリギリまで拒み続け、人々の行動の緩みに対して同じ注意をただ繰り返すだけで、本当に行動を変容させようという意思が感じられなかった。

過去を振り返っても、とても開催に突き進む今の状況は理解できない。私はいま一度言うが、開催には断固反対である。今、公の場で「中止・延期すべき」と声を挙げる人々のことはしっかりと覚えておきたいと思う。