オリックスの崩壊の原因と改善策を考える:「完全出来高制を導入せよ」(2018年12月9日)

2018年オフは、オリックスファンの精神力を一気にそぎ落とすような出来事が、いくつも続いた。

1.西村さん監督主任 → 代わり映えせず、イマイチな印象(つまらない)
2.中島退団 → まあ耐えられる(ある程度痛いが、強がれる)
3.浅村お断り → 笑うしかない(クリティカルヒット的ダメージ)
4.金子退団 → 非常にショッキング(悲しい)
5.西退団  → 死体にムチ打ち(先発が足りないという絶望)

ここまで悲惨なオフになるとは、さすがに想像しないというか、「また試されてしまったか」という一種の不思議な気持ちになる。変な言い方になるが、これまで長いことファンをやってきた私だ。これしきのことでファンを辞めるわけもないが、さすがにダメージは小さくない。

正直、2000年代前半のブルーウェーブ暗黒期よりも、今は辛いかもしれない。なぜかというと、流出ばかりで、先が見えないからだ。だからこそ、昨年FA入団してくれた増井のことは本当に忘れない。

こんなことには二度となって欲しくないので、この記事では原因を考察しながら、今後の改善策を考えたい。

1.はじめに:2014年からの戦力がほぼ絶えた

優勝まであとわずかだった2014年の面々で、来年2019年もオリックスにいる選手を数えたところ、以下の17名であった。

そのうち、2014年シーズンに活躍した選手に、2019年シーズンに活躍がまあ期待できる選手にを付けてみた。ここでいう「活躍」とは他球団のレギュラークラスの選手と比べて同等の貢献か?という主観的な(期待値込みでの)基準だ。

・T-岡田 ● 
・ディクソン ● 
・吉田一将 ● 
・安達 
・比嘉 ● 
・岸田 ● 
・松葉 ● 
・東明 ● 
・山田
・海田
・塚原
・伏見
・若月 
・小島
・後藤
・宮崎
・武田

こんなまどろっこしいことをして、何を主張したいのかというと、2014年チームにあった、戦力という「財産」がほとんど残っていないということだ。しかも、をつけた選手(=2019年シーズンの活躍を期待する選手)でも「一流」の成績を残すことが期待される選手は、正直一人として見当たらない。つまり、2014年のチームの原動力となった主力が残っていないのだ。

その要因は何かというと、以下のように分解できる。

①流出: 糸井、平野、西
②放出: 金子、坂口、伊藤
③パフォーマンスの低下: 安達、岸田、駿太(、金子)
④引退: 佐藤達也、馬原、川端、原拓也
⑤外国人選手の入れ替え: ペーニャ、ヘルマン、マエストリ

この中で、防げたのは、①流出、②放出である。

①流出については、メジャーに行った平野は仕方ないにせよ、糸井、西がFAで他球団(というか阪神)に移籍したのはあまりに痛い。②放出については、自ら手放した、という意味で罪深い。金子、坂口は自由契約なのでただ手放しただけであり、伊藤はトレードだが、代わりに入団した白崎と高城は一軍の戦力になる見込みはない。

また、土壌が流れ出てしまい貧相になってしまったのは、戦力だけではない。首脳陣、フロントの面子も大きく変わってしまっている。したがって、全ての面でチームの経験値がリセットされてしまったと言える

また、2014年オフの「大補強」の大失敗も痛かった。この点については、先日の記事:今こそ2014年オフのオリックスの「大補強」を振り返る(2018年10月23日)を読んでいただきたい。「大補強」の中で唯一、2019年も戦力として価値のある中島が放出されたのは、結果が大失敗であることを更に裏付けてしまった。

2.なぜ戦力が残らないのか①:福良監督の魅力の無さ

端的に言うと、2015年~2018年で、魅力が何も感じられない組織になってしまった。

福良監督が(代行時代も含め)、チームにもたらしたものは、「無い」としか言いようがない。育成がすぐれているのでもなく、采配がすぐれているわけでもなく、ただバントを多用し、中継ぎ投手を使いつぶす。つまり、チームを強化させるどころか、弱体化させた。そして何より、選手への信頼が感じられない。中島が原監督のいる巨人に、金子が栗山監督のいる日ハムに移ったのは、何とも皮肉なことだが、至極当然の結果と言える。人材は、より魅力的な環境に集まるということだ。

珍しく一人の人間に比較的長期間、監督を任せたかと思うと、その結果が裏目も裏目に終わる。「監督が毎年変わっているから、誰かに腰を据えてやってもらう。」というのは長期的に強いチームに必要な要素であるとは思うが、だからと言って無能な人材に白羽の矢を立ててしまうのは、本質を分かっていないまま、ただそうしただけに過ぎない。大失敗、大悪手だ。

しかしながら、さらなる本質は、「有能な人材で監督のなり手がいない」ことにある。チームの魅力が無いのだ。誰か、オリックスというチームの(良い意味での)魅力を客観的に述べられる人はいるだろうか?

3.なぜ戦力が残らないのか②:待遇の悪さ

また、待遇の悪さも大きな原因である。減額制限を超えての減俸をここまで理不尽に繰りかえしたのは、チームの魅力や信用を大きく落とした。ここ数年、坂口、馬原、比嘉、山崎、岸田、東明、金子、中島、小林と、減額制限を超過しての契約を毎年提示してきた。(漏れがあったら、申し訳ない。)

待遇に見合った活躍をしなければ、条件が悪くなるのは当たり前のことである。しかし、長期(複数年)契約後の減額制限超過であればまだ理解できるものの、単年悪かっただけですぐに給料を大幅カットすることは、オリックスの場合、非常に問題であるように思う。どうしてかと言うと、再度活躍しても、なかなか給料が上がらないからである。たとえば、比嘉が分かりやすい。2015年オフに、6000万円→1500万円と減俸は幅が大きいのに、2018年シーズンに活躍しても年俸が1500万円→2300万円と、上げ幅は矮小である。

大減俸ばかりして、一方で活躍したシーズンでの上げ幅は大きくない。それはただのケチのすることである。そんなチームに残りたいと思う選手はいない。

4.魅力のある強いチームを作るためにどうしたらよいのか?

ここまでで論じたのは、このような有様になったのは、チームのトップが無能であり、選手への待遇が悪いことが原因である、ということだ。それを直すためには、以下のようなことを実行すればよい。

まずひとつ。チームのトップには魅力の高い、有能な人材を置くことだ。これは、あまりに当たり前のことすぎる。(ただ、今すぐに出来ることは無いので、この記事ではこれ以上考えない。)

そして次に、減額制限を超えた年俸提示をするとか、人材を軽視するようなアクションは絶対に取らないことだ。相手が人間であることを忘れてはいけない。

そして最後。待遇を見直すことである。これは以下に私案を述べる。

5.「完全出来高制」を導入せよ

私が提言したいのは、活躍した分は必ず報われるという制度、つまり「完全出来高制」である。それまでの経歴や貢献によらず、その年単年の成績のみに基づいて、次の年の年俸が決められる、というアイディアだ。

つまり、年俸を5億円もらっている選手でも、1試合も登板しなければ年俸500万円になり、高卒1年目の投手でも、沢村賞を取れば一気に年俸5億円でも10億円にでもなりえる。

そして何より重要であるのが、「一軍半の成績には高待遇は与えない」ということだ。それほど、勝ちを生み出す選手というのは貴重である。別の言い方をすると、勝ちを生み出してこそ、初めて選手としての価値が生まれる。ただ一軍にいるだけ、ただ消去法的に一軍で出場しているだけ。こういう選手に高待遇は必要ない。(代わりがいる。)

私の2018年の査定(2019年の年俸)を言うと、以下の通りだ。(また、酷使された選手は待遇が良くなるようにしている。選手寿命を奪っているのだから、その分の対価を与えるのは当然のことだ。)

・吉田正 → 3.5億円
・安達 → 3000万円
・ロメロ → 1億円
・大城 → 2000万円
・福田 → 3000万円
・T-岡田 → 3000万円
・若月 → 2500万円
・宗 → 2000万円
・増井 → 3.5億円
・西 → 1.8億円
・山岡 → 1.2億円
・アルバース → 1.5億円
・金子 → 4000万円
・田嶋 → 4000万円
・吉田 → 1.5億円
・山本 → 1.8億円
・近藤 → 9000万円
・澤田 → 8000万円
・比嘉 → 8000万円
・山田 → 5000万円

※選手ひとりひとりの年俸を考えるなど悪趣味なことであるが、私の考えを理解してもらうためにも、活躍に応じた待遇を列挙した、という背景をご理解いただきたい。

6.「完全出来高制」のメリット

この、「100%信賞必罰」の概念により、実力のある選手ほど満足度が高くなるはずである。残した結果こそ物をいう世界なのだから、このような原理があって当たり前の話だ。また、「活躍=高年俸」、「二軍=低年俸」の図式が出来上がり、二軍の選手のモチベーションも上がるに違いないと思う。何かが花開いて一軍で好成績を残せれば一気に億単位の年俸がもらえるチャンスがあると分かれば、モチベーションの低下にはならない。

こうすることで、有能な人材が集まるようになる(流出もしなくなる)。ただし大事なことは、好成績を残せば、破格の待遇(※)を施すということだ。(つまり、他球団よりもいい待遇を与えないといけない。)

※私の感覚で言うと、例えば2018年、ソフトバンクの柳田には年俸9億円、巨人の菅野には年俸7億円程度は用意すべきだ。

また、「完全出来高制」が成り立っていると、「無責任な選択」をする選手は少なくなると予想される。ここで言う「無責任な選択」とは、「怪我をしたまま中途半端な成績を残し続ける」というようなことである。つまり、長期的に見て良い選択とはいえない、「その場限りでの妥協」をすることが無くなるということだ。

また、選手の怪我に対する意識も高まると思われる。怪我のリスクのあるプレーをしようとする選択は減るだろう。つまり、将来的にパフォーマンスを低下させ、自分の価値を下げるような選択はとらなくなる。これは、中長期的に見て、チームにとっても嬉しいことだ。(これを読んだオリックスファンは、坂口のダイビングキャッチや、平野のフェンス激突が思い出されるだろう。)

そして重要であるのが「完全出来高制」をフロント・監督・コーチにも適用し、その金額を「●●の選手の年俸額の合計額の●●%」というように決めるのである。こうすれば、活躍した選手がいればいるほど、管理側の待遇も上がることになる。たとえば、投手コーチであれば、投手の成績が良ければ良いほど待遇がアップするのだ。(しかし、じっくり育成するという側面もあることからある程度のベースの保証や、育成に対する対価や、酷使した分のマイナス補正も必要である。)

また、この「完全出来高制」を実現するには、全ての人間に、ある程度の期間(複数年)のチャンスが与えられていることが重要だ。そうでないと、その時の状況に左右されてしまい、不平等が大きくなってしまう。

7.阪神さんに魅力で勝てないならば

FAを取得するたびに選手が阪神に移籍するようなことが今後も続くのであれば、「移転すれば?」と私は素朴に思う。(具体的にここ、という提案は無い。)

つまりは、「住環境が変わるのは、家族のこともあり避けたいが、より魅力的なチームである阪神が近場にあるので移籍する。」ということが続くようであれば、阪神から遠ざかるという選択肢があり得ると思う。(選手がそのように移籍するのであれば、ファンだってそのように移籍しがちなものだ。)

または、阪神に勝る魅力がなにか見つかればいいのだが・・・。

8.余談:私がなぜファンを続けるのか

私がなぜファンを続けているのかと言うと、「ただの惰性」だ。いや、「惰性」と表現するのは、あまり正しくない言い方かもしれない。

突然だが、「慣性の法則」をご存知だろうか?

「外から力が加わらない限り、物体の運動は変わらない」というものだ。つまり、静止している物体は静止し続け、とある速度で動いている物体はその速度で(同じ方向に)動き続ける、という法則だ。

私の今を述べるならば、「オリックスファンとして(これまでと同じ方向で)、野球のことを考え続けている(同じ速度で)。だから、ファンを続けている。」ということだ。

しかし、これは嘘である。つまり、外力が加わっていないかと言うと、そうではない。確実に、種々のバッドニュースが、私の意思に力を加え、「ファンを辞めれば?」という発想を心の中で芽生えさせている。つまり、いつかはファンであるという動きが、止まってしまうのかもしれない。

ただ、今は、「惰性」がいつか無くなってしまうかもしれない、ということを感じないように自分で蓋をしているからこそ、「惰性」という言葉をあえて卑怯な動機で使ったのだ。

オリックスというチームの経営陣・フロントに、そういうファンが増えているだろうという危機感があればと祈るばかりだ。(そうでなければ、私というオリックスファンは消滅することになるだろう。)

オリックスの崩壊の原因と改善策を考える:「完全出来高制を導入せよ」(2018年12月9日)」への29件のフィードバック

  1. 今オフはファンをやめようかと初めて考えたくらいひどいオフでした。
    ナカジが昔オリックスに対して言ったしょうもない球団という言葉は案外間違ってなかったのかもしれないですね…。

    1. 自分が関西人である以上、決して阪神ファン・オリックスファンでなくなる事は無い。何故ならそれらは関西のリプリゼントだからである。

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