イチローの10年連続200本に並ぶ選手が現れるのは、早くても10年後ということ
今年2018年、MLBで最もヒットを打った選手はカンザスシティ・ロイヤルズのウィット・メリフィールド選手で、その数は192本だった。つまり、今年のMLBでは200本安打に到達した選手がいなかったのである。これは2013年に続き、今世紀2度目の事態だ。(2001〜2010年の10年間も、イチロー以外にも200安打到達者はいた。)
ソース: https://www.baseball-reference.com/leaders/H_top_ten.shtml
アストロズのホセ・アルトゥーベ選手が2014年から続けてきた4年連続200本安打も、ここで途切れたことになった。アルトゥーベは1990年生まれなので、2019年シーズンは29歳になる。ここからの10年連続200本安打は尚の事難しいだろう。(また、2018年は右膝を痛め、このオフに手術も行うらしい。)
2014年以降、アルトゥーベ以外に複数年連続して200本安打を達成したことがあるのは、そもそも誰もいない。アルトゥーベですら10年連続200本安打の折り返し地点に届くこと無く、事実上達成不可能となってしまい、この記録のアンタッチャブルさが伺える。
もちろん野球は200本安打を打つ競技ではないが。
200本安打を10年継続して打つには、
・ヒットを打つ能力が高いこと(≒打率が高い)
・打順が若いこと
・多くの打数を確保できる打撃スタイルであること(≒四球が少ない)
・怪我をしないこと
という要素の全てが不可欠である。そして、イチローはその全てを満たしていた。別の言い方をすると、イチローが最も傑出しやすい記録なのである。将来的にも、この記録が抜かれることは私が生きている間は心配しなくてもよさそうだ。(もちろん、自分の寿命を知っているわけではないが。)
より勝利に貢献している10年連続(野手)の記録
より野手としての貢献度そのものの傑出を表す連続記録を考えよう。ただし、ボンズは抜きで考えよう。(笑)
アルバート・プホルスの「10年連続3割30本100打点」(しかもデビューから)は、直接的に勝利につながるまさに強打者としての金字塔である。しかし、レア度で言うと、イチローの10年連続200本安打の方が高いと思う。ディケイド(10年)を代表するほどの打者であれば、3割30本100打点は十分に実現できるし、多少は欠場しても届くラインでもある。
今後、イチローほどの傑出度を持った記録を達成するのは、マイク・トラウトだろう。ただ、トラウトはトータルで見ればOPSやWARでは圧倒的な数字を残していても、何か具体的な達成数字が見えてきづらいことも事実だ。
そこで私がトラウトに期待しているのは、10年連続MVP投票5位以内である。(10年連続と言わず、もっと。)2012年から、2位→2位→1位→2位→1位→4位という推移である。2018年もムーキー・ベッツにMVP1位を譲ることがあっても、2位までに入るのは確実だろう。2017年はわずか114試合の出場でMVP投票4位になったし、今シーズンも140試合出場だったが、MVP投票2位までに入るのは確実だ。今後も、よほどの不調か長期離脱がない限り、トラウトがMVP投票5位以内を継続するのは確実に思える。
この記録こそがトラウトのプレイヤーとしての傑出度を表すことになると思う。2018年で7年連続である。そして、マイク・トラウトは1991年生まれ、2019年シーズンは28歳のシーズンである。(イチローがメジャーデビューしたのがこの年齢。)ただし、今後継続することが言うまでもなく最も難しいことだ。肉体的、精神的にも継続していくことが何よりも難しく、そして超一流の仲間入りの条件でもある。
ちなみに、プホルスは11年間で10度MVP投票5位以内になったが、2007年にMVP投票で9位になってしまった。(リーグ1位のWARであったが、打撃成績でプホルスを上回るか同等の選手が多かったため、票数が伸び悩んだ。)したがって、最長で6年連続MVP投票5位以内である。
あとは、大谷翔平にも唯一無二の記録が期待できる。仮に10年連続で規定投球回かつ規定打席到達ができれば、これは世紀の記録になるだろう。しかしながら、彼は怪我が多いので連続系の記録はどうしても向いていないし、通算記録も期待できないだろう。何とも残念なことだ。
「2018年MLBで200本安打達成者が「0名」であったことについて(2018年10月22日)」への6件のフィードバック