プロ野球・CS廃止論について(2023年11月13日)

2023年シーズンは、セパともに首位が独走する形となった。

143試合を終えて、阪神は2位の広島に11.5ゲーム差を、オリックスは2位のロッテに15.5ゲーム差をつけて、圧倒的な優勢でリーグ優勝を飾った。

そこで、実は常に起きる議論ではあるが、今年特に盛んに言われたのが「CS制度は必要なのか?廃止しても良いのではないか?」というCS廃止論だ。

確かに、長いシーズンを戦い終えて、圧倒的1位でリーグ優勝をしたチームが日本シリーズに行くのが相応しいと考えるのは筋が通っているように思える。

本投稿では、いくつかの視点でCS廃止論について考えていこうと思う。

なお、CSにはファーストステージ(2位と3位が対戦)とファイナルステージ(1位とファースト勝ち上がりが対戦)があるが、ここではファイナルステージのみを考える。

CSファーストステージに関する私の考えは、以下の投稿に全てまとまっている。
CS第1ステージは「運ゲー」であることを受け入れよう(2018年10月20日)

1.CSファイナルステージを言い換える

CSファイナルステージは6試合制で、1位チームに1勝のアドバンテージがつく。アドバンテージ込みで、3勝1分3敗以上であれば1位チームの勝ち抜けになる。他にも2勝3分2敗なども最低ラインとなりえるが、要は引き分けを0.5勝カウントして、3.5勝(アドバンテージ込み)すれば良いのだ。

と、ここまでは誰しもが考えたことがある、シンプルな話だ。ここでは、新たな見方をするため、ちょっと別の表現をしてみたい。

それは、「CSファイナルステージとは、6試合のエクストラシーズンが発生し、それがすべて直接対決で、それまでのゲーム差によらずにゲーム差が1の状態で始まる勝ち抜け勝負」というものである。(6試合戦った結果、同率の場合は上位チームが勝ち抜ける。)こう考えると、違和感はより如実になる。

仮に143試合を戦い終えて僅差のゲーム差でフィニッシュしたのなら、この制度はよく分かる。「143試合戦ってほとんど差がない2チームなので、もう6試合追加して、1位に1ゲーム分のアドバンテージはあるけど、改めて雌雄を決してください。」という話だ。これは分かる。(ただ、ファーストステージのことを考えると、3位チームが1位チームと対戦することも大いにありえるのだが。)

だが、逆に大差の場合はどうだろうか?143試合を必死に戦って、15ゲーム差もつけたのに、ある日突然「1ゲーム差に縮めたうえで、もう6試合直接対決をやってください。その6試合の結果が全てです。」と言われたら、まあ意味がわからないだろう。

2.CSは廃止すべきなのか?

先述の内容を考えると、「CS制度はおかしい!廃止すべきだ!」という結論になるかと思いきや、実は私の結論はそうではない。ただし、私の結論は論理的な結論という訳では全くなく、廃止論を否定するつもりは、あまりない。(少しはある。)

箇条書きで私の考えをざっくり述べると、

  • CS制度を理解したうえで、12チームがペナントに参加している。
     これはつまり、当たり前のことだが、CS制度は12チームに平等であるということだ。つまり、ぶっちぎりの1位になったのにCSで負けて日本シリーズに出られないこともあれば、その逆もある。機会は平等に与えられている。

  • 大差の1位?それはそのチームの選択ではないか。
     今年のオリックスは15.5ゲーム差をつけての1位だったが、ゲーム差がいくつであろうがCSでもらえるアドバンテージは変わらない。つまり、優勝が決定したら選手のコンディションを最優先として、いくらでも戦力を温存して本来構わない。
    少し説明が極端になったような気もする(優勝が決まったら消化試合をしてもよいのか、それはファンのためになるのか、という反論がすぐそこまで聞こえてくるようだ)が、言いたいことは「優勝チームは、優勝した時点でゲーム差があればあるほど、残りの時間を将来のために有効活用できる」ということだ。だから、大差の優勝チームはそれをふんだんに活用して、CS勝ち抜けと日本一の確率を高めればよいのだ。

  • どれだけのチームと試合が興行的恩恵を受けている?
     CSがなければ、基本的に関心は「どのチームが1位になるか」だけである。こうなると、Bクラスのチームなどは9月頃から来季を見据えた戦いを意識し始める。が、CSがあれば「どのチームが1位、2位、3位になるか」が重要になるので、3位を狙える位置にいる限りは順位をかけた試合をする。そして、そういった試合や日本一という頂点への希望にこそ、ファンは熱狂するのだ。
    あとは、CSそのものの興行としての存在も大きいし、CSがあることによって生まれる戦略的面白さもある。

  • 日本シリーズは、その時点で、日本で一番強いチームを決めるための戦いというスタンス。
     この理由が一番大きいが、私にとって日本シリーズは、「両リーグの1位チームが対戦する場」ではなく、「その時点で両リーグの1番強いチームが対戦する場」だ。だから、リーグ内のその時点の最強チームを決める戦いをしていると考えれば、何も違和感はない。
    アドバンテージは、「同じくらいの強さか、ちょっと下位チームのほうが強いかも?くらいなら、1位チームが日本シリーズに行けるようにするもの」と捉えられる。

3.結論

価値観の違いによって、CSのあるべき姿は異なる、というのが私の結論。

特に、「リーグ優勝」と「日本一」のどちらが重要なのか、あるいはその両方を達成することに意義があるのか、などその人の考え方によって変わる部分なのだ。

私にとっては、「リーグ優勝」の価値が最も高い、と言うと語弊があるが、まずは目指すべきものに映る。

逆に「日本一」こそが最終目標なのだという人には、リーグ優勝したチームに日本シリーズへの切符を渡すべきという考えが当然妥当になる。

論理的に、「どちらの結論を採用すべき」という一方的な帰結が得られる類の議論にはならないので、その興行的価値があり、選手や球団からの廃止論が過半数を占めるような状況にならなければ、CSを継続するのだ妥当であると思う。

4.余談:「気持ち良い日本一」の確率

いわゆる下剋上での日本一もありえるが、気持ちが良い日本一は、
・リーグ優勝して、
・CSファイナルを勝ち抜いて、
・日本シリーズを勝つ。
というパターンだ。

実際3連覇してみて思ったが、この確率は思った以上に低く感じる。完全に単純計算で、
 リーグ優勝(1/6)x CSファイナル勝ち抜き(1/2)x 日本シリーズを勝つ(1/2) = 1/24
という確率になる。

私はこれはこれで違和感はない(受け入れられる)のだが、この数字もおそらく人によって捉え方が大きく異なると思う。(各確率を単純計算していることは置いておき。)

プロ野球・CS廃止論について(2023年11月13日)」への2件のフィードバック

  1. お疲れ様です。きょうも更新をありがとうございます。
    この件は今シーズン両リーグともに独走だったこともあり、例年以上にいろんな記事やコメントが出ていましたね。
    公平性と最後まで興味を繋ぐという、いわば相反することを求めているだけに、皆が納得する結論は恐らく永遠に出ないのでしょうね。(メジャーの方式でさえ、シーズン100勝超のチームがポストシーズンは早期敗退で、なんかモヤモヤなっていましたね。)

    個人的に思うのは、
    ・CS、日本シリーズ方式は現状のまま
    ・日本シリーズの表彰を、リーグ優勝チームの場合と2位3位勝ち上がりチームで異なるものにする
    (日本シリーズ勝者がリーグ優勝チームの場合のペナントは「NIPPON CHAMPIONS」。2位3位勝ち上がりチームの場合のペナントは「 NIPPON SERIES WINNER」。「日本一」を名乗れるのはリーグ優勝が前提で、下剋上チームの場合はあくまで「シリーズ勝者」。)
    シリーズの権威を考えると、これがベストかどうかも何とも言えないですけどね。

    1. 管理人です。
      なるほど、同じ日本一でも、元の順位によって重みや権威を変えるのですね。
      後世の人が日本一チームを見て、ちゃんと区別できるためにも、とてもアリだと思いました。

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