開幕戦の感想を書いてからというもの、ずっとブログ無精になってしまっていたが、5月になったことだし、開幕からのオリックスの総評をしてみたい。というより、いつも通り、箇条書きで一つずつ書いていこう。
●山本は試行錯誤の年か?
新フォームに挑戦しているが、まだそれが成功とはとても断言できない状況だ。WBCで投げていた頃から、真っすぐが抜け気味で、フォークも全然良い時のボールではない。何というか、リリースしたときからフォーク感が出ているというか。(WBCの時はボールの違いもあってか、特にそれが顕著であった。)
思うに、新フォームになって上半身の力を主体としているが、どうにも力みというか、腕が綺麗に出てこないというか、そういう印象を受ける。セットポジションの方が、そういうぎこちなさを感じさせない。
メカニクス的な良さが出ていない現状、新フォームのメリットは何かを考えるときによく言われるのが、タイミングの取りづらさだ。ただ、いつも一定のタイミングで投げるわけで、しかもリリースのタイミングが取りづらくなっているわけでもないので、私はほとんどこの効果は無視できると思っている。
全体的に制球も本来のそれではなく、なかなかピッチングらしいピッチングが見れないのが、ファンとしても、そしておそらく本人としても、もどかしいところだ。
私が山本のフォーム(投げ方)を見るときに一番注目するのが、縦回転になっているかどうかだ。現状は、斜め成分がかなり入ってしまっているように思う。
あと、私が山本に意識してもらいたいのは、フォークに頼らない投球。ずっと言っているが、去年の日本シリーズ(脇腹痛で途中降板した)やWBCのときのようにフォークが決まらないとピッチングにならない、というのでは引き出しが少ない。来年にメジャー挑戦を念頭に置く中で、これまでのようにフォークに頼り切りのピッチングではなくて、スライダーやカットボールやツーシームを勝負球として磨いてほしい(特にスライダー)。あとは、低めいっぱいの真っすぐをもっと決めてほしいなあ。
とか言っているうちに、山本はしっかり修正すると思うので慌てず見守ろう。(あるいは修正をあきらめて元のフォームに戻すかもしれない。)
●舜平大の安定感
山本が苦しんでいる中、舜平大のピッチングには凄みを感じる。真っすぐが強いのが一番の特徴だが、肘から先が最後に出てくる感じで、リリースのタイミングも分かりにくいように見える。
曲がりの大きいカーブも含めて制球が良く、直球とカーブだけで十分にピッチングを組み立てることができる。
フォークは、今後決め球にしていくつもりだろうか?意図してかどうか分からないが、フォークが落ちない日があるが、それはそれでチェンジアップのように非常に打ちづらい球になっている。
ただし、中10日でじっくり調整してきていることを忘れてはならない。
●中継ぎが全体的に不安
中継ぎ王国という前評判で始まったシーズンだったが、昨年終盤の安定感は見る影もない。が、私は特に心配していない。
そもそも速球派が多く、まだシーズンが始まって間もなくで球速も上がってこない。(4月中旬頃までは、みんな最速からはマイナス5キロくらいのボールしか来ていなかった。)そろそろ5月になり暖かくなってくるので、ここから腕が振れてくるだろう。特に、宇田川と颯一郎はWBCの調整もあった。
●先発を降ろすのが全体的に早い
中継ぎが全体的に不安定な中、先発はムラもありつつ、全体的には十分なクオリティの投球が見れている。そんな中で、先発を降ろすのが早いと感じることが非常に多い。
WBCの影響を考えて山本や宮城を引っ張らないのは分かるのだが、山岡、田嶋、福也などが良いピッチングをしていて球数的にもう1イニングは少なくとも行けるという状況で降板させることが非常に多い。
これは意識しての采配なのだろうが、中継ぎの調子が全体的に上がってこない中で、どうにも解せない。
●森はさすが
3番・捕手が定位置になってきた。どうやら、中嶋監督は若月と積極的に併用するというより、森をスタメンで半固定する方針のようだ。森のコンディションが良ければ、おそらく山本以外は森がマスクを被るようだ。
私が強く思うのは、1年間戦う上でもそうだし、今後数年間を考えて、森に負担をかけすぎないようにしなければならないということだ。だから、週に2回はDHで起用した方が良いと思うのだが、この辺りは中嶋監督とは考えの相違がある。
あと、山本は森とこそバッテリーを組んでほしい。同じ捕手とばかりバッテリーを組むのは、もちろんその安定感は捨てにくいだろうが、新たな気づきを得るチャンスを失っているかもしれない。山本の新たな面を引き出せるかもしれないので、ぜひ山本と森でバッテリーを組んでほしい。
●宗よ
開幕から一番私が注目している(というか厳しい目線で見ている)のが宗だ。不動のレギュラーなのだが、打つ方の数字がなかなか上がってこない。100打席ちょうど立ってOPS .566は、端的に言ってしまえば、戦力になっていないレベル。
私が宗のフォームでポイントと思ってみているのは、構えたときの手の位置。これが高いときはスムーズにバットが出てこないイメージだ。あとは、右足の使い方もポイントで、あまりに動きが小さい時は良くない。(詰まったゴロを量産する)
最近は少しずつそのあたりが改善されているが、まだ本来の打撃ではない。詰まったファーストゴロ、セカンドゴロを量産しているときは本当に見ていても辛い。
手は胸の前あたりにおいて構えて、足もしっかり上げる。それくらい変えてみても良いのではと思う。
●打線は全体的にもろい・四球が少ない
ホームランがリーグトップで、なんとOPSもリーグトップだ。開幕前は、ちょっと予想できていなかった。森、杉本、中川の好調が大きいが、ゴンザレスも想像以上に打っている。
だが一方で、打線としてはもろさを感じることが非常に多い。もろさというか、粘り強さがあまり感じられない。ファールで球数を投げさせて・・・という辛抱強い打線ではなく、非常に大味な攻めが多いというイメージだ。
実際、四球数はリーグで一番少ない。四球を取れるときは、非常に良いつながりを見せて複数得点を取れることが多いように感じる。
一番思っているのは、安達の復帰。安達がいる・いないでは本当に打線が全然違う。
●今後の展望
4月が終わって14勝10敗で首位タイというのは上出来だ。なにせWBCに4投手も派遣し、また不調な投手が多かった中で、4つも勝ち越したのは非常に大きい。何より、最近のメジャーでの活躍は本当にうれしく思ってみているが、吉田がいないのだ・・・。森が吉田の穴を完全に埋める打撃をしてくれたのが非常に大きい。
で、今後のパリーグを見据えたときに、まず今の他チームを眺めてみると、西武がかなり調子が良いように思う。OPS .700も打つとは・・・という感じだ。しかも山川が離脱していてこの数字だ。もう少し継続して見ないといけないとは思うが、安定している先発投手も多い中で、マークしないといけない存在だ。
ロッテと日本ハムと楽天は、打線が少し弱いように感じるので、打つ方で上がり目がなければ苦しい戦いになるだろう。ただし、ロッテは十分な投手力があるので、粘り強い戦いができるだろう。
ソフトバンクも、打線が全体的に湿り気味だが、柳田は本来の数字を残しているし、近藤なども復調が期待される選手で、チーム全体として調子が上がってくる可能性が大いにある。
そしてオリックスは好調な打者が全体的に多いので、今後打撃成績は落ちるかもしれないが、なんとか不調選手の復調などでカバーしたいところだ。あとは、投手陣はもっと上がって来ると思われる。