日本シリーズ第6戦感想(2022年10月29日)

とうとう、王手をかけた。あと1勝すれば勝ちと思うと、いよいよここまで来たかと思う。

試合の方は、四球のランナーはそれなりに出したものの、全体的に球際のプレーが良かったし、特に継投に入ってからはほぼ不安のない展開だった。早く追加点を取りたい中でなかなか次の1点に手が届かなかったが、9回に貴重な2点を相手のミスから取れた。

結果として、ヤクルト打線を1安打のみに抑えて、正に完勝だった。こういう投手が頑張って勝つ試合は今年のオリックスの典型的展開で、その意味でも良かった。

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●福也の投球が良かった。

コントロールのばらつきが大きく、決して好調というわけではなかったが、どのボールもある程度有効であったので、大きく崩れる雰囲気は全くなかった。伏見のリードも良くボールを散らしていて、絞りにくかったと思う。

昨年も含めて、日本シリーズで初めて先発投手に勝ちがついたのも非常にいい流れだ。

●1番の勝因は、ヤクルトの1番2番5番を抑えたこと。

つまり、ランナーを置いた状態で3番山田を迎えることが一切なかった。(1番塩見にはヒットを打たれたことはあったが、2番青木でゲッツーが取れた。)

その分、彼らと楽な勝負ができたし、山田と村上に連続四球を出すシーンが2度あったが、5番オスナをしっかり抑えたのでゼロを並べることができた。

●杉本のタイムリーは内容があった。

厳しいコースのインコースの真っすぐを2球悠々と見逃して1-1になってから、同じところを狙って甘く入ってきたストレートをしっかり引き付けてライト前に打った。見逃し方を見ていても、打てるボールをしっかり待てていて、冷静だと思ったので、大いに期待できる打席と思いながら見ていた。

そのあとの打席はちょっと雑だったかなあ。インコース厳しいところをカットできるのを続けられるといやらしいのだけれど。

●打線の組み方は反省すべき。

1番に好調の太田をちゃんと起用するところまではいいのだが、2番・宗と3番・中川はあまりに悪手だと思う。二人とも明らかに調子が落ちている中で、打線の中心である吉田の前に配置するのは絶対におかしい。

宗はタイミングがよく取れていないし、中川はボールとの距離感がずれてしまっている。私は、前回の投稿でも述べた通り、センター福田、サード山足を推したい。

肝心の吉田も、今日は近めの強いボールを全然捉えられていなかった。明日はインコースに意識を強めに待っていいかもしれない。

●中継ぎ(宇田川、颯一郎、平野、ワゲスパック)は盤石だが

この4人は全く心配いらない(心配しても無駄)と思うが、明日は中4日の宮城が先発ということで、かなり早めの継投になる確率が高いと思われる。

その中で大事になるのが、比嘉、本田、阿部、近藤の4人をどこで使うかだろう。宮城が現実的に3回とかで降板することも考えなくてはならない。また、明日の試合に勝てるとも限らないので、第8戦での投手起用も考えなければならない。

延長戦もあるし、平野が連投できるとも分からないので、小木田か竹安かしゅんぺーたーの登板を視野に入れるべきだ。私としては、小木田が妥当ではないかと思う。つまり、以下のようなプランでどうか。

1~3回宮城 → 4~5回小木田+α → 6回阿部 → 7回宇田川 → 8回颯一郎 → 9回ワゲスパック (→延長戦は近藤、比嘉、近藤、本田、ビドル) 

しれっと書いているが、ワゲスパックがここ3戦続けて投げていることは考慮した方が良いかもしれない。ちなみに、このまま日本一になれたら、MVPはワゲスパックではないかなあと思っている。(1勝2セーブで、すべての価値に直に貢献している。ただ、宇田川もピンチでの火消しも含めて1勝2Hの数字以上に貢献度が高いし、福也もトータルで9回無失点に1打点と素晴らしい活躍だ。)

●明日のゲームプラン。

ひとつ負けられる状況ではあるが、当然勝ちに行くべき。明日と明後日、2回勝負するチャンスを最大限に生かさないといけない。

ヤクルトは崖っぷちなので、中盤以降は中継ぎをどんどんつぎ込んでくるはずだ。石山、田口、清水あたりが6,7回あたりから投げてくると思った方がよい。そして、彼らからはちょっと簡単には点が取れないと感じる。ただ、マクガフから続けて点が取れたことで、そこの部分の信頼感は揺らいでいるに違いなく、その分ヤクルトは不安を抱えて投手継投になるはずだ。

とにかく、先発のサイスニードから先取点を取って、リードした展開で中盤に入っていくことが大事だ。だからこそ、代打に良い打者を取っておくなどの策は不要で、いかに先行逃げ切りをするかを考える必要がある。

●明日は私だったらこういう打順にする。

というわけで、こんなラインナップでどうだろうか。

1.福田(中)
2.安達(二)
3.吉田(左)
4.太田(一)
5.杉本(右)
6.紅林(遊)
7.山足(三)
8.伏見(捕)
9.宮城(投)

・本当は1番安達にしたいが、左右がジグザグになるように1番福田にした。

・山足のところは、現実的には大城か野口かな。野口は今日の打席内容がとてもよかった。しっかりボールが見えていた。また、一番やってはいけないのはサード西野だと思う。(守備的に)

・目標は2点リードで終盤に入っていくことだ。ただ、こちらの失点もある程度覚悟する必要があると思うので、大きな目標となるが、打線は5回までに3点を取りたい。だから、比較的打てるバッターにランナー1塁でバントをさせるのは、下策であると思う。

●宮城に期待したいこと。

とにかく丁寧に行ってほしいのだけれど、同時に不要な四球には気を付けてほしい。前回もそうだったので大丈夫だと思うが、カーブをしっかり使って狙い球をなるべく絞らせないようにしたい。また、ピンチになるとカーブの割合が減る傾向にあるので、そこは勇気をもってしっかり使ってほしい。

あと、ヤクルトは低めいっぱいのボールは見送る意識が高いので、その高さの真っすぐをなるべく決めていきたい。ちょうどそのボールは、私が宮城の調子を測るバロメーターの一つだと思っているボールだ。(ちなみに他のポイントは、スライダーでどれだけ空振りが取れるかと、どれだけカーブが使えるか。チェンジアップは基本的におまけみたいな球種だと思っている。)

●山田に注意すべし。

全体的にボールのアプローチが良くなっていて、比較的よく見えている雰囲気になってきた。特にストレートに意識を置いて待っている様子が目立つように思うので、宮城はしっかり緩急を使ってボールを散らしていきたい。

●今の村上は調子の悪い糸井だと思うと良い。

糸井は調子が悪いときでもしっかり四球を選べる選手だったが、同時に甘いボールを多く見逃してしまうところもあった。今の村上の状態を見ていると、そういう調子の悪かった糸井の状態が思い出される。もちろん長打力は村上が上だが。

<雑談>

●第5戦で宇田川と颯一郎がベンチ入りしなかった采配について。

第4戦でそれぞれ回跨ぎをした彼らが第5戦でベンチ入りをしなかったことについて、批判的な意見を寄せている解説者がいるようだが、私からすると「黙っとけ!」というくらいに腹立たしい。

そもそもオリックスはシーズンも含めて、3連投などの酷使はNGという起用をしていて、はじめから登板させない選手はベンチ外にして休養させるスタイルだ。そういうときは、チームのスローガン「全員で勝つ!」のとおり、ベンチ入りした選手誰にでも登板のチャンスが回って来るのだ。

だから、緊迫した同点の場面で、K-鈴木が投げることもあるし、調子の落とした村西が投げることもある。そういうチームなのだ。

また、この日本シリーズを4勝するという意味でも、宇田川と颯一郎をしっかり休ませることは必要なことで、最善手だった。というか、言うたらここから狙っているのは、パリーグ3連覇と日本シリーズ連覇です。

●山本の沢村賞受賞について。

圧倒的な成績を残し、2年連続となる沢村賞を受賞したにもかかわらず、審査員のコメントは山本を素直に称えたり祝福する内容はあまりなく、「他に比較対象がいない」というコメントが目立った。挙句、「佐々木君に期待したい」とか、あまりに失礼だ。

このような、選手にリスペクトを持たない空気があること自体が非常に不満だ。そういうプロ野球界だから、メジャーの方がどうしても魅力的なのだ。というか、何のための賞なのか?受賞者にふさわしい人を称えるものではないのか?

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