高校野球における球児の負担減について考える(2019年8月20日)

毎年のように問題になっている

甲子園を始めとする高校野球における球児の身体的負担は、夏の風物詩のようになっている。

近いうちに絶対に解決策を見出さなければならないと思われるので、私も微力ながらどうにかする方法がないか考えてみたい。

1.「甲子園やめちゃえば?」は一番ナンセンス

一番単純な解決方法は、甲子園そのものを止めてしまうことだ。地方大会も、適当に緩い日程でその地区の中で自由にやってもらうことにする。年に1回でも2回でも別にいい。

しかし、それは誰も望んでいないことに違いない。(と言うか、それでは問題を解決したとは到底言えない。)

そこで、地方大会を含む甲子園という大会の魅力は最大限損なわせず、かつ球児たちの負担を減らす方法を何か考えたい。

ここで球児たち、と言ったが主に投手の負担について考える。(投手の方が負担がかかるから、投手をケアすればその時点で、野手のケアは基本的に考えなくてよい。)


2.負担を減らす方法(14個のアイディア)

 

  • アイディア1: 9回までやらない → たとえば、7回制にする

    私は、このアイディアは結構有力だと思っている。野球と言うのは、9回までやるものだが、別に9回までやらなければ成立しないものでもない。事実、雨天コールドやコールドの場合では、5回(表)等で成立することもある。

    7回というのは、割と絶妙ではないだろうか。先発投手が完投しても球数が100球を大きく超える(150球など)ことは考えにくい。また、クリーンアップと3回は対戦するだろうし、絶妙だと思う。

    もし高校野球が7イニング制になれば、単純計算で、球児たちの負担は約80%にまで下がる。試合時間も短くなるから、日程の消化もしやすくなる。あるいは、真昼の暑い時間を避けて試合をしても、今と同じペースで日程を消化できるかもしれない。

  • アイディア2: コールドゲームを甲子園大会でも導入

    5回終了で10点差でコールドゲームはあってもいいのではないだろうか。強いチームほど負担が少なくなるのも、納得感がある。

  • アイディア3: かならず中2日は設定するようにする

    試合間隔を必ず中2日空けるようにする。
    ただし、甲子園の準々決勝→準決勝→決勝は特別に中1日でいいだろう。(そこまで来たら特別)

    また地方大会は、6月頭くらいから毎週末にやるとか、日程の緩和が必要だろう。そうやって、全国の球児(投手)たちの負担が減ることが何よりも重要だ。

  • アイディア4: 夜の試合を増やす

    確かに涼しい方が負担は少ないが、ナイター設備で普段練習をしているチームとそうでないチームで差がでて不公平になるので、実現可能性は非常に低いと思われる。

  • アイディア5: 試合数を減らす

    当たり前だが、試合数が少ないほど負担は少ない。私が思うのは、全都道府県ではなく、甲子園への出場校が32校であれば、5回戦で済むではないかということだ。(現行は、1回戦で49チーム→32チームに絞っている。なお、センバツは初めから32校。)

    その場合、地区の見直しも含めて、全国をなるべく均等に32ブロックに分けるべきだ。(”1校の格差”を是正する。)

    また、地方大会では春先から日程を進めるとか、そういう試みも必要だろう。

  • アイディア6: ドーム球場でやる

    幸い、近くに京セラドームがあるし、京セラドームでも実施したらどうか。京セラなら夜もできる。

    甲子園と同時開催すれば、例えば無駄に間隔が空きがちな1回戦、2回戦を倍のスピードで消化できる。ただし、”甲子園”という聖地でプレーできない選手からの不満は容易に想定される。(ただ、だからこそ英断が必要なわけであるが。)

    雨天中止も無いし、ドーム球場での実施は非常に効果が大きいと思う。

  • アイディア7: DHを導入する

    投手の負担減が目的だが、一方でDH制により相手打線が手強くなるという逆効果もある。私としては、打つのに特化した選手なども試合に出れるので、DH導入は結構賛成。

  • アイディア8: 見逃しのストライクは2ストライク分にする。

    これは過激だが、投手の負担減に絶大な効果があるだろう。1ストライクから見逃しで三振になるわけだ。そうなると、打者は否が応でも早打ちになり、サクサク試合が進むことになる。

    ただ、試合展開が審判の技量に今まで以上に左右されることになるので、現実的ではない。(アイディアとして思いついたものの、私自身も賛成でない。)

  • アイディア9: 追い込まれてからのファウル数の制限

    追い込まれてから、2ファウルまでは認めるが、3ファウル目は三振扱いとしたらどうだろうか?「粘る→相手投手が消耗する→勝利の可能性が高くなる」という構図は、投手の負担を考えるうえで絶対に壊さなければならないだろう。

    また、球数制限を実施する場合も、ファウル数の制限は必須であろう。

  • アイディア10: 試合の中での球数制限

    数字は例えばであるが、ひとりが1試合で投げられる球数を例えば100球までとする。(ただし、100球に到達したイニング中は投げられる。)これに7回終了ルールや、ファウル制限を導入すれば、エースひとりしか投手がいないチームでも勝ち上がることができる。

  • アイディア11: 球数による登板間隔の制限は難しいのでは(日程が公平とは限らない)

    私は実は球数制限による登板間隔の制限については否定的だ。
    なぜか?以下に説明したい。

    地方大会も含め、どのチームも日程が平等ということがあるだろうか?たとえばA高校とB高校が対戦するとして、「A高校は中3日空いているから誰でも登板できるが、B高校は中2日しか空いていないから前の試合で投げたエースが登板できない」という状況があってB高校が敗退したとき、絶対に問題にならないだろうか?(そもそも日程による格差が根本的問題であるのだが。)

    また、投手が一人しかいないチームでは、日程によっては、登板間隔制限によって優勝する希望がはじめから断たれてしまう。これは非常に理不尽で残酷なことだ。

    したがって、WBCにあるような、●●球以上投げたら中○日空けなくてはならない、というような球数制限を大会のルールとして課すことは反対だ。

  • アイディア12: 登板間隔制限はチーム毎に内規を定めることをルール化する

    少し長くなるが、説明したい。(長い割に、そこまで大きな内容はないので、スルーしてもらっても構わない。)

    登板間隔の制限が無いと、原理上は何連投でもできる。そうすると、エースが連投となる登板を回避して負けた時に、チーム内で「あいつが投げないから負けた。」と、エースが白い目で見られたり、本人が気にしたりすることが考えられる。これは、スポーツとして非常に気持ちが良くない。

    そこで、「球数による登板間隔制限をチーム内で定め、それを必ず守ること。そして、必ずそれを公表すること。」をルールとして課してはどうだろうか?

    とあるチームAは「100球以上投げたら中3日以上空ける。」とルールを決め、
    とあるチームBは「うちは登板間隔制限を設けない。」とルールを決めるだろう。
    (あるいは、高野連が何パターンかのルールを用意し、そこから選ぶのでもいいと思う。)

    上で述べた例で考えれば、チームAであれば「自分たちのルールだからしょうがない。」となり、後腐れが無い。投手からしても、そういう高校を選択することで、不安を抱かずに投手をすることができる。特に、連投に耐えうる過酷な投げ込みをする必要もなくなる。

    一方、チームBには「連投できるのに投げないから負けた。」という考えが残ることになる。しかし、チームBが登板間隔の制限を設けないチームであることは分かっていてその高校に入ったわけだから、投手としても「確かにそう言われても仕方ないか。」と思えないだろうか?

  • アイディア13: 延長戦=即タイブレーク

    ・延長戦に突入したら、即タイブレークにする。
    ・タイブレークは1イニングだけの実施とする。(つまり、1イニングで絶対に決着をつける。)
    ・無死満塁から、任意の打順から始める。
    ・タイブレークが終わって同点の場合、安打数、出塁数、塁打数、残塁数などを比べて勝敗をつける。
    ・タイブレークは球数制限から除外する。

  • アイディア14: 補強選手

    これは非常に議論があると思うが、その地区内の高校から、例えば2名まで補強選手を選ぶことができる、という仕組みはどうだろうか?(そして、怪我以外の理由では断れないルールにする。)

    投手が少ないチームであれば投手を補強し、打力を強化したければ打てる選手を補強すればよい。

    メリットとしては、全国の有望な選手が甲子園でプレーする機会が生まれること、ひとりのエースに負担が偏ることが避けられること、それにより負担減を考えなくて済むことが挙げられる。

    デメリットとしては、仮にその補強選手のまずいプレーで敗退したときに納得ができるかということ、補強選手により出場できなくなる選手が生まれること(そしてその選手がどう思うかということ)が挙げられる。

    メリットは非常に大きいが、デメリットも特に心理的に大きいだろう。ただ、この制度を導入している社会人野球の都市対抗戦のように、甲子園大会を地区対抗戦と位置づけることで、導入が容易になるかもしれない。

    また、もしこの制度を導入するのであれば、全国の地区をなるべく均等に分割することも大事だろう。そうでないと、高校数が多い地区の優勝校が強力な補強選手を擁するので、強くなりやすい。ただし、高校数が多いということで、それだけ激戦を勝ち抜いた分の”ご褒美”という見方もできる。

3.総論

色々アイディアを書いたが、私としては「7イニング制+中2日の確保+ファウル数制限(+補強選手制度)」があれば、それ以上の配慮は必要ないと思う。

何故かと言うと、あまりに配慮しすぎると、①投手が2人いるチーム と ②ワンマンエースしかいないチーム を考えた時に、②を相対的に優遇することになるからだ。(頑張って投手を2人以上育てる意味があまりないということ。)

かと言って一方で、配慮をせず、複数人投手のいるチームを前提とする日程も違うと思う。私は②のチーム、つまりワンマンエースがひたすら投げるというスタイルも否定したくはない。本人が望んでいるなら、それはそれでいい。

そのバランスが一番とれるのが「7イニング制+中2日の確保+ファウル数制限(+補強選手制度)」だと思う、ということだ。


4.それにしても奥川君は凄まじい。

今年の甲子園を見ていて、奥川君(星稜高)のピッチングは本当に凄まじいと思う。化け物みたいな内容だ。

この甲子園のピッチングは、数年に一度のレベルだろう。いや、もっとすごいかもしれない。(10年に一度くらいかも。)

私は、いろいろな候補がいる中でも、贔屓球団(オリックス)には奥川君をぜひ1位指名してほしいと思う。ここまでピッチングができる選手は、プロでもなかなかいない。

一年目から一軍で80イニング程度投げて(6月から中10日ローテ)、二年目からは主軸ローテでの活躍が期待できると思う。そういう姿が容易に想像できる。

しかし、そう考えると創設間もない楽天に入団したとはいえ、高卒1年目で186イニングも投げた田中将大は、真に怪物だと改めて感じる。あのスライダーは打てる感じがしなかった。


 

高校野球における球児の負担減について考える(2019年8月20日)」への29件のフィードバック

  1. 管理人さんお疲れ様です。
    いつも面白い考察をありがとうございます。

    7イニング制は面白いかもしれませんね。タイブレークも導入できたわけですし、
    決断次第で導入できるのかと思います。
    せめて地方予選だけでもベスト8までは7回までとする、なども考えられると思います。

    ただ、甲子園の興を削ぐところまで改革をしてしまうと、野球人口の減少にも
    つながると思うので、難しいところですね・・・
    たとえば、球場が京セラドームになるだけで、高校野球の人気、ひいては野球人口にも
    大きなダメージがあるのではないかと思います。

    似たような話で、箱根駅伝がマラソンランナー育成の妨げになっている、というものがあります。
    これについても、色々な考え方がありますが、そもそも箱根駅伝がないと、長距離走を志す選手
    そのものが大きく減ると私は予想するので、箱根駅伝をなくすことは、日本の長距離走者
    育成の観点では、かなりマイナスがあるのではないでしょうか。

    話がそれましたが、そもそも、大舞台である甲子園で成長する選手もたくさんいると考えると、一概に
    甲子園での酷使だけにスポットを当てるのも不適当なのかもしれませんね。
    (歴代優勝投手は、島袋投手を除くと最低限の成績は残していると思います。)
    どうしてもスポットが当たったあと、潰れた投手というのは目立ちますが、
    それ以上に成長する選手もいると思うので、甲子園の開催について大改革は難しいかな、
    という気もします。

    ただし、1年制から主力で甲子園で投げた投手は、大成しない印象があるので、
    (報徳の田村投手(現西武)、安楽投手(現楽天)などなどサンプルは少ないのですが)
    1,2年生の間は投球に制限を設けるなどの規制は必要なのではないでしょうか。

    最後にドラフトですが、オリックスには絶対に奥川投手を指名してほしいです!
    左腕の河野投手の噂もありますが、そもそもパ・リーグでは左腕が育たない
    こともあり、あまり左腕を上位で使うのは考えものな気がしますね・・・
    もちろん、田嶋のように力があればよいのですが。

    アウトを取るための最適解は左で投げること、ではないはずなので、
    うまいドラフトの立ち回りを見せてほしいですね。
    ドラフト手腕は上がっていると思うので、新GMのお手並み拝見というところでしょうか。

    1. ピジョンさん、

      長い記事ばかりでいつも恐縮ですが、ありがとうございます!

      自分は学生野球は正直あまり詳しくないのですが、野球人口減少のようなニュースを聞くたびに、
      どうにかできないものかなあと考えます。頭を丸める風潮も、無くなればいいのになあと思ったりもします。

      箱根駅伝の話は、知らなかったです。甲子園も何を求めるか、ですね。
      元号も新しくなりましたし、常に良い方向を追い求めてほしいものです。
      1、2年生には投球制限というのは、とても良いですね!自分の発想にそのアイディアが欲しかったです。

      ドラ1はやっぱり奥川君ですよね!私も河野投手の情報はちょくちょく仕入れていますが、
      同選手のドラフト1位での指名には、ポテンシャル的な意味であまり賛成ではないです。

      奥川君か佐々木君のくじを当てたら、私は今アメリカに視察に行っているGMさんに対しては
      ちょっとは溜飲が下がるかなーと思います。

      ドラフトまで、もう2か月を切りましたね。とても楽しみです。
      (野手の上位指名も欠かせないと思うので、どういう戦略になるかが楽しみです。)

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