死球に対するペナルティを考える(2019年8月17日)

 

誰しも一度は、「死球と四球が同じ扱いなのは、果たして正しいのか?」ということを考えたことはあるのではないだろうか?

私も野球を長いこと観てきた中で、漫然とではあるが、ずっと考えてきた。そして醸成された私の考えというか感覚を、述べたい。

自分の中で、信念があるほど考えは固まってはいないのだが、なぜそれにも関わらずわざわざ投稿にするのかというと、この前の某3連戦を見て、今後問題になりそうな気がしたため、問題提起のためにも書いておこうと思ったのだ。

1.「ぶつけてもしょうがないくらいインコースを厳しく攻める」と故意死球は、本質的に何が異なる?

故意に当てにいくということは少ないと思うし、実際に見ていてほとんど無いと感じる。一方で、「当てに行くくらいインコースを思いっきり突く」というのは、非常によく見る。この「当たったらゴメン死球」と、故意死球との違いはなんだろうか?

言うまでもなく、故意死球は積極的にぶつけにいってる(当たる確率が100%になるよう意図している)が、「当たったらゴメン死球」は、「10%くらいは当たる確率があるかもしれないが、勝負のうえで必要だから、当たったらゴメン。」なので、その意図が完全に異なる。

しかし、「当たったらゴメン死球」も、ぶつけて怪我をさせる可能性を承知のうえで投げているという点で、故意死球と比べて、実は本質的に完全に異質というわけではないと感じる。

そう考えると、死球を当てた時のペナルティはもっとあった方が良いのではないかと思えてくる。

ただし、罰の意味でのペナルティがあった方が良いということばかりを主張しているのではない。リスクを背負っているからこそ、望んで当てているわけではない、という論理的構図を作った方がいいのではないか?ということだ。リスクを課すことで、「死球は悪いこと」という共通概念をもたらすことにもなる。(現行の「四球と同等」では死球は悪い、とは必ずしもならない。)

つまり、リスクを背負った状態で「当たったらゴメン」の投球をするのであれば、当てた方にもデメリットが大きいわけだから、望んで当てていないことが客観的に明らかである(というか、そういう説明がつく)。そうすると、全員が後味悪くならずに次のプレーに移ることができる。

あとはデメリットをどういう設定にするかだが、デメリットを背負ってまで当てようとする悪いバッテリーが出ないとも限らないから、一般にデメリット(リスク)は大きくした方がよいわけだが、話はそんなに単純ではないことには、もうお気づきだろう。

2.投手だけが悪いわけではない:わざとあたる打者・避けるのが絶望的に下手な打者など

特にホームベース寄りに構えている打者に多いが、ちょっとストライクを外れて内に食い込んだボールを避けきれず当たってしまう打者がいる。

つまり、「えっ、そんなん当たるの!?」というケースである。もちろんボールゾーンで当たっていることは当たっているのだが、それでも投手の手を離れた瞬間から「危険性の低いボール」であったはずなのに、打者を直撃してしまい、大怪我につながることもある。

野球というのは、ストライクだけを投げようとしなければいけないスポーツではないから、その範疇でボール球を投げて打者に当たってしまうのは、ある意味しょうがない。また、横に角度のあるピッチングだと、ストライクからボールになる変化球(スライダーなど)で打者にぶつかることもある。

また、インコースを投げさせないために、あえて避けようとしない打者もいる。あとは、オリックスにも伝統的に多いが、エルボーガードを付けている肘を積極的に突きだす選手がいる。変に避けてまずい箇所に当たるくらいなら、うまく体を引きながら肘を突き出して、肘に当たろうとするのは分かる。しかし、初めから当たりそうにないボールに対してわざわざ肘を突き出すのは、悪質な行為であるし、勝負の前提にある信頼関係を損ねるものである。

これらを考えると、死球のペナルティを重くすればするほど、死球に当たることを厭わない打者が増えると思われ、ただいたずらにペナルティを重くすればよいわけではないことが分かる。

3.提言

以上から、私の考えとしては、「特に危険な死球」や「避けられない死球」に対するペナルティ(リスク)を課すべきである、という結論に至る。

また、そのペナルティ(リスク)が試合の中で閉じるだけのものだと、例えば大差がついた試合や負けてもいい試合で、実質的に役割を果たさないことが考えられるので、ある程度長期的な視点でもペナルティを設計する必要がある。

そこで、以下3-1と3-2を導入することを提案したい。

3-1.「特に危険な死球」に対するペナルティ(長期的ペナルティ)

胸部より上への危険な死球の場合、死球を与えた投手を一軍登録できなくする。また、対戦チームに”慰謝料”を支払う。相手チームの選手の価値を下げることをしてしまったのだから、その補償をするのは当然のことである。

その際に、死球の危険度をNPBがランク付けする。

ランク1:速球系=首より上 → 即退場+1ヶ月間の抹消+慰謝料2,000万円
ランク2:速球系=胸より上、変化球=首より上 → 15日間の抹消+慰謝料1,000万円
ランク3:変化球=胸より上 → 10日間の抹消+慰謝料500万円

当たった箇所と投げた箇所は一般に一致しない(避けた頭にあたった場合など)が、総合的にNPBが後日映像をもとに判断する。(退場だけはその場で審判の裁量で決める。)また、故意死球など、悪質と思われる場合は、抹消期間や慰謝料額を増やすことも可能とする。故意頭部死球は、永久追放も可能とする。

話は逸れるが、一般に、相手選手に怪我をさせるような危険なプレーをした場合は、上記のランク分類を適用し、ペナルティを課すべきではないだろうか。

意図的なタックル → ランク1
バットのフォロースルーが捕手を直撃 → ランク2(矯正しようとしない場合)
一塁でファーストの足を意図的に踏む → ランク3

※二軍戦のときどうするとか、日数ベースじゃなくて試合数ベースの抹消が必要とか、本当はさらに詰めるべきところがあるが、あえてその辺はアバウトに書いた。

3-2.「避けられない死球」に対するペナルティ(短期的ペナルティ)

避けられないと思われる死球を出すたびに課すペナルティとして、死球を出しにくくしつつ、ペナルティそのものの役割を果たすものが望ましい。(これを思いついた私は偉いと思う。)

⇒避けられないと思われる死球を与えるたびにそのチームのインコースの判定を辛くしていくのはどうだろう。(その試合中、適用する。)

・1死球目 → どっちとも言えるようなインコースがすべてボールになる。(ホームプレートに掠ったかどうか微妙だったら、全てボールにする。)

・2死球目 → インコースいっぱいのストライクがボールになる。(ボール半個がホームプレートに掠ったくらいはボールにする。)

・3死球目 → インコースはストライクをとらない。(ボール全体がホームプレート状に収まって通過しない限り、ボールにする。つまり、通常時よりボール1個分厳しくする。)

・4死球目以降 → 退場 

※避けられない死球であると審判が判断した場合のみをカウントする。

こうすることで、不可避の死球を与えれば与えるほど、インコースのストライクゾーンが狭まっていく。死球の可能性は減るし、攻撃チームの得点可能性が増すわけだ。

また、将来的に機械でストライクボールを判定するようになったとき、容易に実現可能だと思う。(人間の審判で、判定の段階を変えていくのは難しいだろうと素直に思う。)

3-3.たとえば:初回に危険球退場など

たまにあるが、初回に先発投手が頭部死球を与えて退場となることがある。この場合のペナルティは、3-1と3-2に照らし合わせると、「即退場+1ヶ月間の抹消+慰謝料2,000万円+その試合中どっちとも言えるようなインコースがすべてボールになる。」となる。

自分で提案しておいて何だが、長期的にも短期的にも、割と絶妙ではないか。いや多分、重すぎるのだと思うが、重すぎるくらいがちょうどいいのではないだろうか?

もちろん9回など、試合の終盤に頭部死球退場の場合などは、短期的ペナルティが役割を果たしにくいが、その場合でも長期的ペナルティが一定のペナルティを担保してくれる。

4.その他に思いついたペナルティなど

上記のペナルティを基本にしつつ、他のペナルティも考えてみたものを列挙しておく。いくつか、組み合わせて使ってもいいかもしれない。特に、死球をくらったチームが、相手に課すペナルティを「選択できる」ようにするのは非常に重要な要素だと思う。

<長期的ペナルティ>

  • ドラフト指名権の譲渡
  • 死球を与えた投手が、その後シーズンで同じチームに対して登板できなくなる
  • 死球を与えたチームから一定期間、死球をくらった選手と同等の年俸ランクの選手をレンタル移籍させることができる(あまりに過激か)
  • 翌々シーズン以降の、ホームゲーム開催権を譲渡(これも過激)
  • 死球をよく出す投手のインコースのストライクゾーンを狭めに判定する

<短期的ペナルティ>

  • 一塁ではなく二塁に進める
  • 次の打者が1ボールから始まる
  • DH解除(パのみ)
  • 攻撃チームのフェアゾーンを広げる
  • 攻撃チームの塁間が狭まる
  • 守備チームの野手が減る(そのイニングだけ)

<その他>

  • 死球時の臨時代走(これは応急手当時間の確保のためにも実施すべき)

 

ということで、以上、私の考えを書いてみた。あと、いつぞやの東尾対落合ではないが、打者も狙ってピッチャー返しを打つ能力を持つことが何よりの抑止力ではないだろうか。

死球に対するペナルティを考える(2019年8月17日)」への27件のフィードバック

  1. 初見です。毎死球ごとに処分はありえないと思います。

    コントロールの良い投手でもすっぽ抜けて当ててしまう事もありますし、避けるのが下手で怪我する選手もいます。怪我するごとに処分していては「避けるのが下手なせいだ」と処分を受けた側チームがNPBに異議申し立てしてくるのは目に見えています。

    故意死球か否かも判断が難しいところなので、毎死球ごとに処分を科すのではなく「死球数が多い投手」と「死球が多い球団」に絞って処分が科せられるべきだと考えます。

    過去の統計から死球のボーダーラインを作り、それを超えた投手は強制的に1か月登録抹消。球団であれば「警告と罰金」でいいと思います。警告と罰金だけでも公表されてニュースになれば「このチームは乱暴なチームだ」というマイナスイメージがついてしまうので、抑止効果はあると思います。

    1. コメントありがとうございます。

      自分としては、全ての死球ではなく、避けられない(と判断される)または胸部より上の死球に限定しているのである程度現実的かなあと思っています。(その点が分かりにくい文章になっていたので、少し加筆しました。)

      ボーダーラインを作るのは凄くいいアイディアですね。抑止効果が高そうに思いました。
      いつか、死球に関して誰しもが納得できるルールができるといいですね。

  2. 打者の怪我の程度で投手の出場停止などの処分はどうですか?わざと当たりに来る場合も肘をちょっと出したりする程度でわざわざ骨折するように当たりに来ないと思います。この場合は打者の方が少し不利になるように投手側は打者の完治の3/4の出場停止。また投げた本人ではなくチームの連帯責任で怪我さした同年俸クラスの選手を出場停止にしたらいいと思います。このルールでしたら阪神も下手に藤浪を登板させたりしないのではないでしょうか?

    1. コメントありがとうございます。怪我の程度に応じてペナルティというのは有力ですね。
      私も漠然と考えてはいたのですが、1.嘘の診断書を出す可能性、2.怪我の情報は公表したくないチーム(場合)もありそう、3.実は元から怪我をしていた(指の骨折など)など考えて、記事に書くのを見送った記憶です。

      ただ、同年俸クラスの選手を、というのは非常に面白いアイディアですね。その出場停止になった選手の年俸負担の問題などありますが、それでも抑止力(ペナルティ)としては良いですね。

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