今年は2名の達成者!
昨年(2018年)は、以下の記事で投稿したとおり、MLB全体でシーズン200本安打に達した選手はひとりもいなかった。
2018年MLBで200本安打達成者が「0名」であったことについて(2018年10月22日)
2019年は何名いたかと言うと、見事2名の打者がシーズン200本安打を達成した。ちなみに、シーズンごとの安打数ランキングは以下から参照可能だ。
https://www.baseball-reference.com/leaders/H_top_ten.shtml
それでは本題に入り、まず一人目から紹介していこう。
1.Whit Merrifield(ウィット・メリフィールド) 206安打
メリフィールドは、1989年1月24日生まれのカンザスシティ・ロイヤルズのリードオフマンだ。今シーズンはMLBダントツの681打数(打席は735でMLB2位)に立ち、打率 .302はMLBで19位だったものの、206安打を打った。キャリア初の200本安打だ。
メリフィールドは昨年もMLBで最も多くヒットを打った打者だったが、192安打で大台にはわずかに届かなかった。2018年の打率は .304と2019年とほぼ変わらないが、どうして200安打に到達できたのだろうか?
一番の理由は打数が増えたことだ。632→681と約50打数も増えたため、その分、十数本のヒットを稼ぐことができた。
なぜ打数がここまで増えたのか?
打数が増えた要因のひとつは、打席数が707→735と28増えたことだ。ただ、これだけでは打数の増加を説明できない。
次に大きな要因は、四球が減ったことだ。61個→45個と、約1/4も減った。より積極的に打ちに行った結果だろう。
メリフィールドはどれだけ200本安打を継続できるか?
多くの日本のファンが気になるのはこれだろう。
私の結論は、「数年以上の継続は極めて難しい」である。理由は大きく3つある。
①年齢
2020年1月で31歳になり、成績的にはいつ下降しても不思議ではない。今後数年に渡って同等の成績を継続する可能性はそこまで高くない。(ただ、MLBデビューが2016年と遅かったこともあり、すぐに成績が落ちる可能性は低いと思う。)
②ポジション
メリフィールドは、セカンドと外野をちょうど半々出場するような選手だ。(2018年まではセカンドが圧倒的に多かったが、2019年は半々だ。)
セカンドのような守備の負担が大きいポジションを守っていると、どうしても怪我からは逃れにくい。
③そもそもの打撃水準
打率が3割をちょっと超える程度なので、200安打を超えたとしても今シーズンのようにギリギリでしか達成できない。イチローはリーグで一番多い打数(大体680程度;今年のメリフィールドと同じだ)と平均的に打率 .320を残していたから、余裕を持って200安打をクリアしていた。だからこそ、ちょっと調子が悪い年があっても、10年連続200安打を達成していたのだ。
続いて、2人目の達成者の紹介に移ろう。
2.Rafael Devers(ラファエル・デヴァーズ) 201安打
ボストン・レッドソックスの若き三塁手だ。非常に好調なペースでヒットを積み重ね、残り36試合の時点で1日1本ヒットを打てば200本に到達するまでヒットを打った。
200本安打は確実かと思われたがそこから不調に陥り、達成が危ぶまれたが、シーズン最終戦で3本安打を放ち200本安打に乗せた(シーズン201安打)。デヴァーズもキャリア初の200本安打だ。(フルでシーズンに出場するのも、今シーズンが初めてだ。)
デヴァーズはどれだけ200本安打を継続できるか?
デヴァーズが200本安打を今後も継続する可能性はズバリ、そこそこありそうであまりない。
まずは、継続できそうな理由を述べよう。
200本安打を継続できそうな3つの理由
①若い
1996年10月24日生まれだ。何とこのブログを書いている時点でまだ22歳だ!能力の向上や継続という点では非常に期待が持てる。若いというだけで無限の可能性がある。
②ポジション
サード専任だ。二遊間のような負担はないから、うまく行けば怪我とは無縁のキャリアを送ることも可能だろう。
③非凡な打撃センスと打撃スタイル
デヴァーズはとにかくちゃんと強いスイングが出来て、強い打球が打てる、非常に破壊力を持った打者である。youtubeの検索リンクだけ張っておこう。
https://www.youtube.com/results?search_query=Rafael+Devers
四球もそこまで多く選ぶタイプではなく、2019年シーズンは48個だった。(イチローも例年そのくらいだった。)
・・・と、ここまで書くとイチローの10年連続の記録が危うい気がしてくるが、私はその可能性はかなり低いと思う。
200本安打の継続が難しい理由
デヴァーズは、2019年のヒットの約4割が長打であった。したがって、今後も長打を打つ方向でキャリアを過ごしていくものと思われる。そうなると、好調であるほど警戒されて四球が増えて、安打数は伸び悩むことになるはずだ。
次に、左ピッチャーに弱い。したがって、左ピッチャーに多く当たる年があると、成績も落ち込むため、厳しいだろう。
最後に、打順である。今シーズンは約半分が2番であったが、それ以外の打順(主に3番〜6番)も半分ほど打った。確かにタイプ的にも4番、5番を打たせたくなるが、そうなればなるほど、打数が減るので200本安打の継続は難しくなる。
と、ネガティブな要素も多くあるが、まずは来年どういう方向で数字を残すかを見る必要がある。私はデヴァーズの打撃センスは本物かなと思うので、200本安打を抜きにしても、非常に注目したい選手だ。
「2019年MLBでの200本安打達成者2名について(2019年10月4日)」への7件のフィードバック