オリックス中継ぎ陣の酷使を考える(2018年7月8日)「吉田と山本と増井を休ませよ」

1.どれだけ中継ぎ陣に頼って勝っているか。

現在は、オールスターまで残り2戦を残すのみという状況であり、もうとっくのとうに折り返し地点を折り返している。前半戦の戦いぶりを理解するためにも、オリックスの現在までの成績を文字に起こしてみる。

 38勝36敗4分(勝率 .514) 、OPS .664、被OPS .689

OPSよりも被OPSの方が高いのに勝ち越していることに気づいた人も多いだろう。ちなみに、私が導出したOPS型ピタゴラス勝率(https://yakyu-blog.com/チームopsと得点数の関係 〜「2-4乗」について〜)から計算すると、勝率は. 463(36.1勝)にしかならないが、実際は40勝(引き分けを0.5勝とカウント)もしており、計算上よりも4勝も稼いでいる。

これは、運が良い訳でもなんでも無く、抑えたいポイントを的確に抑えているからであると考える。つまり、優秀な中継ぎ陣のおかげで、何とか勝ち越した状態で終盤を迎えることができれば、高い確率で勝利につなげることができているということだ。事実、ここまでの38勝中25勝が、3点差以内だ。

つまり、中継ぎ陣に大きく頼って何とか前半戦を勝ち越してきた、という理解が相応しいと考える。


2.どれだけ中継ぎ陣を酷使しているか。

以下の表を見ていただければ、どれだけ中継ぎ陣が酷使されているか、容易に想像がつくだろう。

ここで、「登録試合数」は一軍に登録されていた試合数であり、一番右の「シーズン予想登板数」はシーズン最後まで一軍に登録されたと仮定した場合の登板数である。なお、澤田は、開幕してからなぜかずっと一軍で干されていた期間があったが、これは登録されていないものとみなした。

ちなみに、2017年シーズンにパ・リーグで登板数の多かった投手ベスト3は以下の通りだった。

1.岩嵜(=ソフトバンク、72試合)
2.サファテ(=ソフトバンク、66試合)
3.福山(=楽天、65試合)

・・・岩嵜とサファテは手術を行うような怪我で、また福山は不調で、今シーズンほとんど戦力になっていない。したがってこのままでは、吉田、山本、増井の2019年のシーズンは無いものと思ったほうが良い。また、近藤もかなり危ない領域に入っている。

特に、山本の登板率は一言で言って異常である。忘れてしまった人もいるかもしれないが、山本が今シーズン初めて一軍に登録されたのは4月24日(開幕21試合目)である!

これだけ中継ぎ陣を酷使しているのだから、もし万が一、優勝できないようなことがあれば、高山コーチと福良監督は当然辞任すべきである。(というか、今首位にいない時点で、辞任してもらいたいと思っている。)


3.個々の中継ぎ・抑え投手の成績推移と酷使を考える

ここでは、各投手のデータを視覚的に分かりやすいよう、グラフにまとめてみた。

一見、非常にごちゃごちゃしたグラフに見えるが、中身はシンプルである。横軸を登板数として、赤太線がシーズン通算の被OPS、赤点線がその登板での被OPS青線が登板前10日間の投球数、青線の下に書いてある数字が登板前10日間の登板数である。

例えば、以下の吉田投手の25試合目の登板は、被OPS0.500くらい前10日間で5試合に登板し約90球を投じていた、という具合だ。そうそう、灰色のダイヤは前日からの連投時の登板であることを示している。

3−1.吉田

個人的に、最も酷使されている投手は、連投数や回跨ぎ数を考えて吉田だと思っている。

  • 登録はじめの8試合の酷使ラッシュは酷い。このラッシュの後、成績が著しく悪化している。
  • 20試合目前後(=5月下旬)でリフレッシュする期間が一瞬だけあったものの、それ以外は常に登板している。
  • 後半戦に向けて、早急に登板頻度を減らす必要がある。

3−2.山本

チーム随一の登板頻度を誇る山本も、改めてグラフにしてみると、ほとんど休んでいないことがわかる。

  • 何度か超酷使期があるものの、大きく成績を崩すようなことにはなっていない。
  • 常に1イニング限定であるだけでなく、出番も8回に固定されている。また、連投した次の日はノースローにしているらしいので、酷使による影響が比較的少ないものと思われる。
  • しかし、前10日間で3登板は当たり前(つまり、どの11日間を選んでも必ず4登板している)のは、正に酷使としか言いようがない。
  • 高卒2年目ということも考えれば、一刻も早く登板頻度を下げたい。(オールスターにも選ばれたし。。)

3−3.増井

オリックスに来たことを後悔していないだろうか・・・と不安になるくらいの頑張りっぷりの増井には一ファンとして本当に感謝している!

  • シーズン20試合目頃(=5月27日)までは、短い酷使のピークが一度あるのみで、まさに理想的な登板ペースだった。
  • シーズン当初は痛打される場面が多かったが、前半戦トータルで見ると、非常に安定した成績を残した。
  • しかし、ここに来て(=35登板目以降)、想像を絶するような酷使にあっており、後半戦が心配である。(オールスターにも選ばれた。)

3−4.黒木

吉田、増井、山本と比べると負担は少ないように思うが、それでも調子を崩していった。

  • シーズンが始まった当初は、「困ったら黒木」が多すぎたのではないか。
  • 3月・4月の26試合中15試合に登板(うち7試合が連投)したことで、一気に消耗したと推測される。
  • 現在、2軍でリフレッシュ中。肩肘なら完全に治るまでは、絶対に無理しないでほしい。

3−5.近藤

最もグラフがガタガタになったのが、この近藤だ。

  • 酷使されると成績が最も悪化しやすい投手であると言える。(前10日間の登板数が多いと、登板成績が悪い傾向にある。)
  • 改めて見てみると、登録を抹消されるきっかけとなった10試合目の登板(4月20日)は、それに至るまでがひどい。前10日間で6試合に登板し100球を投げていた状態でマウンドに上げられて、打者2人に対して2四球を出したところで、それは本人の責任ではないだろう・・・。(そもそも、そんな状況なのに好調のディクソンを6回途中76球で降板させた采配も今シーズンワーストと言えるくらい酷い。)
  • 酷使さえしなければ成績は良好である可能性が高いが、それならば先発で起用したらよいでのはないか・・・?ということに気づいた。

3−6.澤田

短期間の酷使により、調子が狂ってしまった可能性が高いのが澤田だ。

  • 短期間内の、3連投2回(9〜11試合目、13〜15試合目)で一気に調子を崩した可能性が高い。
  • その期間(5月3日〜12日)は10日間で7登板であった。
  • その後、打ち込まれる期間を経て登録抹消されるも、やはり調子戻らず。一度狂ってしまうと、元に戻ることは難しいということだろう。
  • 調子が戻るまで、基本的にはビハインドや延長時の登板としたい。また、4月頃の調子に戻ることがあれば、接戦の展開でも投入したい。

4.投手運用に関して、後半戦に向けての提言

言いたいことをなるべく簡潔にまとめてみた。

  • 吉田、山本、増井は、安定感を考えてもブルペンから欠かすことができない。
  • 酷使に対する耐性を考えて、近藤を先発にしたほうが良いと思う。
  • 山岡を中継ぎにせよ。いつも中盤で打ち込まれているではないか。ただし、1イニング限定にすると真っ直ぐの勢いに頼ろうとしてフォームを崩す気がするので、あくまでロングリリーフで。
  • 先発投手には7イニングは投げてもらうようにすべし。(勝ち投手になりたかったら、7イニングを抑えるべし。)
  • 中継ぎを酷使するような状況になるくらいなら、時には捨て試合を作るべし。
  • 打力を最優先にしてスタメンを組むべし。

したがって、以下のような投手陣の布陣とすることを提案する。

  • 先発 = アルバース、西、金子、ディクソン、近藤、田嶋(ローチ)
  • ブルペン = 増井、山本、吉田、比嘉、澤田、齋藤、山岡

 

 

 

 

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